サラリーマンは早期退職の先々をイメージすることが大切だ
早期退職は「無職」になること
「ストレスの多い会社を早期退職して自由の身になりたい」
多くのサラリーマンはこんな思いを心の片隅に抱きながら働いています。
「定年まで会社に残り続けたら、定年後は身も心もボロボロの老人になる」と考え、すでに早期退職の準備に入っている人も少なくないはずです。
不満もなく働いていても、上司との対立や業績悪化でいつ早期退職という事態に直面するか分からないのがサラリーマンです。
これまでも早期退職予備軍だけでなく、順風満帆なサラリーマンであっても、給料+αの副業に取り組んで金融資産を増やしておく重要性を強調してきました。
しかし、副収入や貯蓄だけでは十分ではありません。
退職後、多くのサラリーマンが実感することがあります。
それは無職やフリーランスは極めて社会的信用度が低いということです。
たとえ、数千万円の貯蓄があったとしても、クレジットカードや借家の審査を落とされ、プライドが傷つけられる人は少なくありません。
そのとき初めてサラリーマンという身分は最強だったことを心底感じるはずです。
自由との引き換えに失う社会的信用
何かを手に入れたら、一方で何かを失う。
人生には常にトレードオフがつきまとうものです。
トレードオフ(英: Trade-off)とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のことである。トレードオフのある状況では具体的な選択肢の長所と短所をすべて考慮したうえで決定を行うことが求められる。(出典:Wikipedeia)
早期退職もまた同じです。
自由な人生と引き換えに社会的信用を手放すことになります。
「私は退職金も含めて豊富な貯金がある」「私は一部上場企業で部長まで勤めていたんだ」と主張したところで、相手が見ているのは、現在、毎月の安定収入があるかどうかという点なのです。
物差しが異なる以上、いくら腹を立ててみたところで仕方がありません。
私はたとえ社会的信用を失ったとしても、自由な生活は余りあるほど有意義な瞬間だと考えています。
しかし、丸腰のままでで早期退職してしまうのはあまりにも無防備です。
早期退職して無職になる前に、社会的信用度を必要としない環境を整える知恵が必要なのです。
具体的に、どうするのか?考えていきたいと思います。
早期退職前にクレジットカードと住宅の取得が重要
海外保険付帯の楽天カードとエポスカードは最低限持っておきたい
最近は年会費無料であっても付帯サービスの充実したクレジットカードが増えました。
しかし、食事などの割引サービスは、さほど利用しないものです。
むしろ、重要なのは、いざという時に数十万円〜数百万円の出費を負担してくれるサービスです。
そうしたクレジットカードを持っておくことが資産防衛的にも極めて重要です。
早期リタイアすると海外旅行に出かけたくなるものです。
とくに早期リタイア族は時間の自由が最大の特権。繁忙期を避け、安い航空券と宿泊料金で楽しむことができます。
しかし、海外旅行先で病院に駆け込む事態になると、健康保険が使えない国が多いものです。旅先での治療費は数十万円〜数百万円という高額な請求を覚悟しなければいけません。
ですから、以前にも紹介しましたが、海外保険が付帯した楽天カードとEPOSカードは必要不可欠です。
海外保険が付帯されたクレカは意外に少ないのですが、両方とも海外保険が付帯しているだけでなく、運営会社もしっかりしているので保障内容の実行など信用度も安心です。
私は早期退職前に、保障内容の手厚い楽天プレミアムカードと手数料無料のEPOSカードを揃えました。
これで旅行出発前に夫婦で1万円近い掛け捨ての海外保険に加入する必要がなくなり、何よりも手間が減りました。
超低金利時代の住宅ローン完済論は疑問だ
早期退職前に済ませておきたいこと。それは自己所有の住宅取得です。
「無職になるかもしれないのに住宅ローンを組んで大丈夫だろうか?」
こんな不安を抱く人は多いと思います。
もちろん、貯蓄も少なく無収入になる人が早期退職前に住宅ローンを組むのは危険です。
ただ、本稿では、副業に取り組み、金融資産を形成してから早期退職する人を前提に説明したいと思います。
私自身、早期退職後も住宅ローンを完済せず、半分ほど残して生活しています。
リタイアする前に退職金で完済することをすすめる人がいますが、手元資金が底をついた状態になるようであれば、それは避けるべきです。
超低金利政策で住宅ローンは現在、固定金利でも1%を割り込んでいます。一方で、急な出費のためにキャッシングローンなどを利用すると、年利1%では済みません。
できる限り、手元資金は残して、超低金利の住宅ローンをコツコツ返済するのが得策です。
早期退職前に自己所有の住宅を購入する最大の理由
早期退職前にローンを組んでも住宅を取得する。
この考え方は超低金利を活用することが本来の目的ではありません。
それ以上に重要なことは借家だと引っ越しのたびに入居審査があるということです。
無職やフリーランスゆえに入居審査を落とされることは少なくありません。むしろ、人気の住宅地や街では入居を断られるのが一般的です。
私も不動産投資を実践してマンションなどの大家さんでした。それゆえ、貸す側の気持ちは分かります。
非サラリーマンに物件を貸すのは不安なものです。できれば、有名な企業に務めるサラリーマンに貸したいものです。
審査は不動産業者に任せていましたが、彼らは勤務先重視で入居者を選定していました。
ですから、これまで不動産業者が仲介してきたのはメガバンクの行員や大手広告代理店の社員らでした。
また、貸す側にとって高齢者も体調の急変など不安なものです。ですから、将来、高齢ゆえに入居審査を落とされる事態も想定する必要があります。
自由の身と引き換えに失う社会的信用度。それが最も必要になるのは住宅ローンや借家の入居審査、そしてクレジットカードの入会審査です。
早期退職を目指す際には、こうした社会的信用度が必要なことをすべて終えておくことが何よりも重要です。