人生には心の上り坂と下り坂がある
収入と幸福感は比例しない
経済的な豊かさと幸福感は比例しないと言われます。
よく引き合いに出されるのは、「幸せの国」ブータン。高知県ほどの国土に約70万人が暮らす小国です。国民総生産(GDP)は2000億円(2013年)にすぎません。日本は約549兆円です。
今年3月、国連は「世界幸福度報告書2018」を発表しました。
幸福度ランキングの第1位はフィンランドで、日本は54位。前年の51位から後退しました。ブータンは97位。幸福度を測る物差しが西洋思想の国連と東洋思想のブータンとは異なるということなのかもしれません。
米国、中国に次ぐ世界3位の経済大国ニッポンの幸福度が低いと聞いて、多くの人は「やっぱり」と思ったのではないでしょうか。
夜でも一人で出歩ける治安の良さや衛生環境の良さなど日本の素晴らしさは数多くありますが、会社員の心の中にフォーカスすると、日々、充実感を感じず、何かに追われているような精神状態、将来の不安、職場の窮屈な雰囲気など、幸福感の希薄な生活を余儀なくされています。
大手生保などがかつて調査した結果によると、最も幸福感の低いのは40代なんだそうです。
言われてみると、私自身、思い当たる節があります。
40代は最悪だったが、50代から上昇した幸福感
私自身の経験で恐縮ですが、40代はいろいろなストレスや葛藤が集中する年代でした。
会社では中間管理職で上下からプレッシャーを受け、仕事の内容も社会貢献など二の次。社内の調整に追われる日々でした。
一方で、子供はまだ学業の真っ最中。無事に社会に送り出す義務があります。家のローンもまだ残っているし、徐々に体力的な衰えも感じていました。
年収は20〜30代の頃より増えて豊かになったはずなのに、日々、幸福感からは程遠い生活だったと思います。
そんなとき、多くの人は二つの選択肢に迫られます。
- 仕事はつまらないが、生活もあるから定年まで我慢する
- 体が元気な50代のうちに会社をやめて自由に生きていく
私は40歳前後から早期リタイアを考えていましたから、2つ目の早期リタイアの気持ちをより強固なものにしていました。
ただ、不思議なもので、50代に入って早期退職が近くにつれて、気持ちも楽になっていました。
そして、早期退職した現在は、人生でかつてないほどの幸福感を感じています。
何かを捨てなければ決して自由は得られない
死ぬ間際に後悔しない人生を選択することが大切
人は死ぬ間際に、いろいろな後悔を残して、この世を去ります。
緩和ケアの介護を長年務め、数多くの患者を看取っ女性介護人ウェア・ブロニーの著書「死ぬ瞬間の5つの後悔」は、世界中で多くの人に読まれ、大切な気づきを与えました。
ブロニーが聞いた5つの後悔は次の通りです。
1、自分に正直な人生を生きればよかった
2、働きすぎなければよかった
3、思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
4、友人と連絡を取り続ければよかった
5、幸せをあきらめなければよかった
人は皆、自分の正直な気持ちを押さえつけ、生活のためと思い、働きすぎる人生を送ります。ようやく会社を退職し、年金も支給され、自由な日々を送っていると、あっという間に、体の自由が効かなくなり、終末期を訪れます。
私自身、早期退職後は、毎日が楽しく、時間が過ぎ去るのが恐ろしく早いと感じています。定年まで我慢せず、早期リタイアして本当に良かったと思っています。
もちろん、定年まで働いていれば、もっと貯蓄も増えたかも知れません。しかし、自由や幸福感を得たのですから、トレードオフです。
時間はお金では買えません。何かを捨てなければ、決して自由は得られないものなのです。
準備なき早期リタイアは自殺行為
ただ、絶対にしてはいけないことがあります。
それは副収入源もなく、リタイア生活の資金も貯めずに、「こんな会社やめてやる」と啖呵を切って気分の赴くままに退職することです。
待っているのは生活苦であり、自由どころか、新たなストレスを抱える人生になります。独身者であれば、まだなんとかなるかも知れませんが、家族がいる人は無責任な人生選択です。
人間は先々、どんなことが身に降りかかるか予測することはできません。現在の仕事に満足している人であっても、ある時から会社をやめたいと思い悩む日々が襲ってくる可能性だってあります。
ですから、誰もが30〜40代から実行すべきことがあります。
それは収入源の複数化です。給料の他に収入があれば、早期リタイアしても生きていくことはできます。
これは誰もが知っていることですが、多くの人が実行できていないことでもあるのです。