長寿時代は賃貸住宅よりも持ち家が理想的な理由
老後は賃貸より持ち家が安心な理由とは?
先日、YouTubeの人気動画を見ていたら、角界の方々が「持ち家がいいのか?それとも賃貸住宅がいいのか?」をテーマに議論していました。
「持ち家VS持ち家」論争は、人それぞれの置かれた状況によって正解が異なるので、一定の結論を導き出すことはナンセンスです。
ただ、早期リタイアや定年退職したあと老後も展望した場合には、持ち家が理想的だと考えています。
賃貸物件の大家さんは高齢者には貸したがりません。変死や孤独死されると、面倒なだけでなく、物件価値が大幅に低下するからです。
大家さんといえども、零細な個人事業主。ボランティアではありません。ですから、少しでもリスクを減らしたいのは当然です。
若い頃の感覚や考え方はどこかでギアチェンジが必要
賃貸を支持する人たちの話を聞いていると、「住所を固定せずに自由で身軽に生きていきたい」「一生ローンに縛られたくない」などといいます。
若い頃はワンルームや1DK程度の賃貸で大丈夫かもしれません。
しかし、子供が生まれて都内で3LDKや4LDKの賃貸マンションが必要になっても、そんな間取りの物件数は少なく、あったとしても目の飛び出るような家賃だったりします。
私は30歳でマンションを購入しましたが、賃貸より持ち家のローンの方が月々の支払いが少なく済んだためです。
当時は住宅ローンは一生に縛られるようで本当にいやでしたが、いまは若い頃に賃貸から持ち家にギアチェンジしたのは正解だったと考えています。
ただ、退職時に住宅ローンが残っている場合、多くのサラリーマンは退職金で一括返済すべきかどうか迷うはずです。
とくに、多くの家計アドバイザーは「住宅ローンの残債を一括返済して固定経費を減らすことがお得だ」などと言っています。
退職金で一括返済するのは、本当に得策なのでしょうか?
退職金で住宅ローン一括返済よりも賢明な選択とは?
「退職金で一括返済」は昭和の感覚ではないか
平成から令和になって人生100年時代と言われます。
100歳まで生きるのは大袈裟だとしても平均寿命が85歳前後の長寿社会であるのは間違いありません。
ですから、たとえ60歳で定年退職したとしても、なおも人生は25年前後が残っているわけです。
または50歳前後で早期リタイアした場合、実に35年間もの人生が待っているのです。
その長い道のりを歩むにあたって命の次に大切なものは何か?
それは現金です。
住宅ローンの一括返済に現金を使ってしまうのは長寿時代の考え方としてはいささかリスクがあります。
しかも、現在は年利1%以下の超低金利時代。住宅ローンは見方を変えると、リスクを嫌がり、なかなか融資しない銀行が唯一寛容な貸出金ともいえます。
住宅ローン以外だと、金利も高く、そんな低金利で長期返済の融資は見当たりません。
むしろ、住宅ローンとうまく付き合うことを考えた方が長い老後を考えた場合、得策だと思うことがあります。
では、具体的に考えてみましょう。
一括返済よりも生命保険解約が賢明な理由
例えば、定年退職時に金利1%の住宅ローンが2000万円残っていると仮定します。
すると、年間の金利負担は20万円ということになります。
しかし、住宅ローンを組む際、誰もが契約者が死亡した場合、残債を肩代わりする「団体信用生命保険」に入っているはずです。
契約者が亡くなっても遺族は無借金の持ち家に住めるわけですから、住宅ローンは生命保険の一種と考えることができます。
ですから、退職金で2000万円のローンを一括返済するよりも、まだ一般の生命保険に加入して毎月2〜3万円の保険料を支払っているとしたら、その保険を解約する方が得策です。
おそらく、住宅ローンの金利負担分程度は毎月の固定支出が減るはずです。
さらに、毎月の保険料が2万円前後の医療保険にも加入している場合には、夫婦で8000円程度で医療保険と生命保険(一人800万円)を保障する都民保険に切り替えると、さらに月々の固定費は減少します。
高齢になればなるほど、いざという時のキャッシュは重要です。
退職金で一括返済したあと、お金が必要になって銀行に借りに行っても住宅ローン以上の金利負担を覚悟しなければいけません。
「あのとき退職金で一括返済しなければよかった」と悔やんでも、返済したお金は戻ってきません。
退職金による一括返済より、生命保険のなど各種保険の保険料を見直すだけで、ローン金利相当分の固定費削減効果があると意識するだけで、老後の備えは大きく異なってくるはずです。