娘との会話で投資で失敗する人の共通項を学んだ
就職内定の娘と交わした親子の投資話
今年、長女が就職の内定をいただき、長男に続き、来年からは長女も社会人となります。
先月、長女が通う大学の学費を払い終わり、親の義務を果たした気分です。私もこれからは学生の頃のように自由に生きていこうとワクワクしていました。
しかし、そんな矢先、長女が突然、妙なことを話し始めました。
私、銀行の積立投資信託をやりたいんだけど〜
なんで、急に?やるなら非課税の積立NISAもあるよ
分かった。調べてみる
投資信託は毎年信託報酬という手数料を取られるから、それも調べなさい。利回りがマイナスになっても信託報酬はきっちり差し引かれるからね。
そうなんだぁ。もうひとつ外貨建て保険もやろうと思っているの
どうして?
だって年間7%の高金利だっていうから。
しかし、外貨建ては為替変動リスクがあるんだよ。約束された通りの利益にならないかもしれない。そもそもお前は表面的な利回りで金融商品を選んでいないか?
・・・・・・・・・・
金融商品を売って生計を立てている人もいる。多くの金融商品は売る人たちのコストを差し引いて、最終的にお前に利益が回ってくるんだ。就職と同時に投資を始めるのはナイストライだけど、その前に利益の正体をしっかり勉強しなさい。
こんなたわいのない会話でしたが、ひとつ大切なことを学ぶことができました。
今回、娘が悩んでいた金融商品は大手企業が販売しているものですから大丈夫だと信じています。
しかし、世の中には、どう見ても「ポンジ・スキーム」を利用した詐欺にしか見えない金融商品もあります。
私は娘との会話を通じて、なぜ、多くの人たちが非常識な高金利商品に騙されるのか、分かったような気がしました。
金融商品は利回りの前にどんな運用なのか知ることが重要
私の長女は、今年の就活で何社か入社試験を受けていましたが、最終的にはかねてから希望していた食品メーカーを選択しました。
そのなかにはメガバンクもありましたが、あの程度の金融知識ですからメガバンクを選択を選択しなかったのは正解だったのかもしれません。
ただ、彼女はお金に厳しい母親の影響なのか、学生時代から積立貯蓄を始めていて、就職が決まると、今度は投資を始めようとしていました。
未知の世界を積極的に経験しようとする姿勢は素晴らしいのですが、いかんせん短絡的なところがあります。
ただ、娘を通じて、多くの人たちが金融詐欺に引っかかる原因が分かったような気がします。
それは、利回りだけで金融商品を判断しているからです。
口だけなら、利回りは10%でも50%でも自由にホラは吹けます。
問題は、それだけの利回りを実現するために、どんな運用をしているのかということです。
それが説明できない詐欺師たちは「元本保証」「100%返金保証」という言葉も持ち出します。
そもそも預金以外の金融商品に「元本保証」と明記するのは違法です。
詐欺師の特徴は儲かる話はしますが、具体的な運用方法を説明しようとしません。
かりに説明したとしても、ヘッジファンドで働いていた優秀なトレーダーがタックスヘイブンの国で運用した利益を配分するといった雲をつかむような説明です。
ところが騙される人は具体性やエビデンス(証拠)に乏しい説明であっても、高利回りと元本保証という二つの言葉で電気ショックを受けていますから、もう判断能力を失っています。
欲望が先立って、お金を振り込んでしまうのです。人間の欲望とは恐ろしいものです。
世の中は騙す側と騙される側に二分されるといいます。
しかし、決して騙す側になってはいけないし、騙されずに圧倒的に稼げる人になるのが理想的です。
そのためには騙す側の手のひらに乗らないことです。
先日、政府がNISAの恒久化を見送るという記事を目にしました。
「投資非課税のNISAは富裕層優遇」という指摘があったので、NISA口座の恒久化を見送るという内容です。
この話も別の意味で騙しがあると感じました。
それはなぜか?
一般NISAは政府が恒久化を嫌がるほど投資家に有利な口座
一般NISAは本当に富裕層優遇なのか?
「騙す側」と「騙される側」で言うと、政府は圧倒的に騙す側です。
消費増税した分は社会保障に当てると説明し、国民に「それなら仕方がない」と思わせながら、実際は別のことに使っているのが代表例とも言えます。
そして、10月から消費税を10%に引き上げると、こんな記事が飛び込んできました。
NISAの恒久化を見送りへ 投資非課税は「富裕層優遇」
政府、与党は16日、期限付きで導入された少額投資非課税制度(NISA)について、恒久化を見送る方針を固めた。恒久化は金融庁や証券業界が求めていたが、現行制度は富裕層への優遇だとの指摘もあり、認めるのは難しいと判断した。(出典:共同通信10月16日『NISAの恒久化を見送りへ 投資非課税は「富裕層優遇」』)
売買益などが非課税となるNISAには、投資限度額が年間120万円の「一般NISA」と、年間40万円の「つみたてNISA」があります。
今回、恒久化が見送りとなったのは、年間限度額120万円の「一般NISA」。「つみたてNISA」は期限延長を議論するということです。
しかし、NISAは富裕層優遇という理由づけには疑問が残ります。
まずは、富裕層とは誰を指しているのでしょうか?
一般的には、金融資産から借金を除いた純金融資産が1億円を超える層を富裕層といいます。この富裕層は総人口のたった2%と言われています。
そんなわずかな富裕層が本当にNISA口座開設者の大部分を占めているでしょうか?
そんなはずはありません。
本音は恒久的な優遇税制の撤廃ではないか
「孫や子のために」「将来の社会保障のために」「富裕層優遇」といった言葉は、反論を薄める効果があります。
このため、政府が多様する論理でもあります。
今回のNISAの恒久化見送りも同じです。
「富裕層優遇」は本質論ではなく、むしろ税務当局がやめたいほど税収減になる、逆に言えば制度を利用した国民にはメリットがあるということです。
ただ、政府の姿勢や方針をとやかく言っても収入が増えるわけではありません。
批判よりも黙々と稼ぐための方法を考えることが大切です。
今回のニュースは、政府が恒久化を嫌がるほど一般NISAが優遇されている制度だということです。
そうであるならば、ただちに一般NISA口座を開設して非課税投資に励むことが賢明です。
騙す側が行動を起こす時、そこには必ず目的があります。
騙す側の目的を的確に分析し、瞬時に自分がなすべきことを判断して行動する。
これが、騙されずに、きちんと稼げる人になる近道だと考えています。