サラリーマンがフリーランスよりも恵まれている理由
安易な”脱社畜”は人生転落の第一歩
最近、安易な”脱社畜”を唱える人が減ってきたように感じます。
フリーランスの収入の不安定さを語る有名ブロガーやユーチューバーたちが増えたためかもしれません。
大企業で中高年のリストラが増えたと言っても、それでもなお、20〜30代のフリーランスとよりは収入が安定していて、早期退職に伴う割増し退職金もあります。
それ以上に、多くの人たちに気づきを与えたのは、金融庁の「老後2000万円不足」報告書です。
報告書は、厚生年金に加入するサラリーマンでさえ老後2000万円不足するといっているのですから、国民年金のフリーランスや自営業の人は5000万円ほどは必要だという計算になります。
日々の生活費を稼いだうえで、さらに5000万円もの金融資産を貯められるフリーランスは、どれだけいるでしょうか?
一部の大物ブロガーが唱える”脱社畜”のリスクと浅はかさに気づいた人は多いはずです。
賢明な人たちは、彼らがなぜ”脱社畜”をすすめるのか、その狙いも推測したに違いありません。
脱サラ後に収入がなくなった人たちは、藁をもすがる気持ちで有名ブロガーが「稼ぐノウハウ」として販売する情報商材を購入する予備軍になるのです。
つまり、”脱社畜”した人たちは、彼らの養分候補になるのです。
「これをやれば月収100万円稼げる」
現状に窮していればいるほど、こんな謳い文句が踊るノウハウ本が欲しくなるものです。
他人の人生を危うくしてまで稼ごうとする人たちは後を絶ちません。
この世は弱肉強食なのです。
私がサラリーマンの副業が最強と考える理由
私はフリーランスよりもサラリーマンの副業が最強の稼ぎ方だと申し上げ続けてきました。
早期退職を実現し、自由に生活している現在、この考え方は一層正しいと思えています。
それは専業トレーダーとして生活している人は、すぐにピンと来るはずです。
専業トレーダーは株式取引の利益から生活費を捻出しています。しかし、いつも利益が出るとは限りません。
損失が出た時や利益が微々たる時でも生活費は必要です。お金がなくなれば、投資資金に手を付けるしかありません。
すると、元本が減り、気分的にも焦り出し、負の連鎖が始まります。
生活費を稼ぐ義務を背負いながら働く点では、フリーランスも専業トレーダーと同じです。
しかも、生活費を稼ぐのは最低ラインで、さらに老後資金として5000万円貯めなくてはいけません。
一方、サラリーマントレーダーであれば、給料から生活費を捻出するため、たとえ株式投資で損失を被ったとしても精神的にも焦る必要はありません。
生活費も含めて自力で稼ぐしかないフリーランスや専業トレーダーと、金融資産を増やすために副業する会社員とは精神的にも経済的な状況的にも違いは明らかです。
さらに、サラリーマンは50代まで勤務すれば、1000〜2000万円程度の退職金や、ある程度の年金も期待できます。
給料と副業の両面で金融資産の形成に取り組めるサラリーマンは、不安定な収入に四苦八苦するフリーランスよりも有利なのです。
年収億単位のフリーランスが陥る危険性とは?
年収億単位のフリーランスに憧れて早期退職する人たち
早期退職するサラリーマンは、2つのケースに別れると思います。
ひとつは、会社の業績が悪化したり、社風が肌に合わなかったり、上司との折り合いが悪いといった会社自体の問題で早期退職するケースです。
もうひとつは、すでに脱サラしてフリーランスになったあと、サラリーマンせはもらえないような収入を得て成功している人を見て「自分も目指してみたい」と挑戦するケースです。
これは比較的若年層に多いと思います。
「フリーになって一攫千金を手にしたい」
こんな大志を抱くのは決して悪いことではありません。むしろ、人生を前向きに切り開こうとするわけですから、その気概は賞賛されるべきです。
しかし、憧れだけで脱サラするのは無謀です。
その無謀な脱サラをやってしまう人たちが決して少なくないのです。
なぜか?
「億単位の年収を手にした」と喧伝するフリーランスの言葉に惹かれるからです。
単年ベースではなく数十年ベースで人生を考える
長年、低賃金が続くかもしれないと考えると、脱サラした有名ユーチューバーやブロガーなど成功者に憧れる気持ちは分からないでもありません。
しかし、その前に、ひとつだけ考えておくべきことがあります。
人生は長い長いマラソンのようなものなのです。
現在30歳なら、残りの人生は60年ほども残っていますし、40歳なら50年もあります。
たとえ、フリーになって多額の収入を得たとしても、それは長い人生の中では微々たるものです。
大切なのは、その収入が20年から30年と、同じ水準で維持できるかということです。
多くの大物ブロガーらが、突然、Googleのアルゴリズムが変更し、検索順位が上位から飛んで収入の激減に喘いでいます。
YouTubeから規約違反を理由にアカウントを停止され、突然の収入ゼロになったユーチューバーも少なくありません。
サラリーマン時代の手取り収入は、経費や税金、社会保険料も除いた完全な手取り収入です。
「フリーランスになって、その収入を20年、30年と継続できるだろうか?」
自問自答したうえで、それでも勝算を感じるのなら、踏み切ってください。
大切なことは、単年度の大儲けではありません。20〜30年、長期的に安定した収入を確保することなのです。