サラリーマンの手取り年収は想像以上に少ないのが実態
富裕層だけでなく庶民も税金を真剣に考える時代が来た
富裕層がよく口にする言葉があります。
それは「税金対策」です。
所得税は最高税率が45%(所得4000万円以上)、住民税は一律10%、さらには株式の売却益の課税約20%と、あの手この手の税金が降りかかってくるからです。
重税から逃れようとシンガポールなど税率の低い国に移住してしまう富裕層も多かったのですが、最近は課税を逃れるための条件や水際での資産把握策が強化され、富裕層も徐々に外堀を埋められています。
それでも富裕層はまだ所得や資産が多いのですから、生活に困ることはありません。
しかし、今度は10月から消費税が10%に増税されます。
私たちは、所得税や住民税、消費税のほかに、公的年金や健康保険、雇用保険、介護保険の保険料も徴収されています。
社会保険といっても、一種の税金のようなものです。
医療や年金など社会保険料という言葉の魔術で「致し方ない」という気分になっていますが、年々料率が引き上げられ、所得を圧迫しています。
これに10月1日からは消費増税が加わります。
消費税10%時代の到来を機に、富裕層だけでなく、一般サラリーマンも課税の実態を把握し、防衛策を本格的に考える時期に来ています。
というのも、具体的な試算をみると、搾取的実態が見えてくるからです。
税金・保険料の天引きで手取り年収は驚くほど減少する
どのくらい税金や社会保険料を天引きされているのか、正確に把握しているサラリーマンは少ないと思います。
会社が税金や保険料の天引きを代行しているため、自分で計算することが少ないためです。
では、手取り年収はどうなっているのでしょうか?
「平均年収.jp」によると、税理士の試算は次の通りです。(出典:平均年収.jpの試算をもとに編集)
- 年収200万円→手取り157.8万円
- 年収300万円→手取り232.2万円
- 年収400万円→手取り307.6万円
- 年収500万円→手取り381.6万円
- 年収600万円→手取り451.2万円
- 年収700万円→手取り515.9万円
- 年収800万円→手取り581.1万円
- 年収900万円→手取り649.8万円
- 年収1000万円→手取り718.1万円
- 年収1500万円→手取り1010.5万円
- 年収2000万円→手取り1284.8万円
- 年収3000万円→手取り1738.3万円
- 年収4000万円→手取り2273.8万円
- 年収5000万円→手取り2731.2万円
- 年収1億円→手取り4910.9万円
住んでいる自治体や世帯構成によって若干の変動はあると思いますが、額面と手取りの差額が税金や社会保険料となります。
サラリーマンが目標とする年収1000万円といっても、実際の手取りは718万1000円に過ぎないのです。
月収換算では約59万8000円。その目減りした手取りから、さらに税金を徴収するのが消費税なのです。
消費税負担でさらに減少する手取り年収の実態と対策は?
年収400万円台は消費増税で年間約22万円の負担額
消費税10%時代の到来で、国民の手取り年収はどのくらい削られてしまうのでしょうか?
日本経済新聞が9月20日に「消費税、図解カイセツ あなたの負担は?」と題し、消費税の負担額推計を報じました。
その記事によると、消費税率が10%に上がると、「年収400万円以上~500万円未満」の人は年間の消費税負担額は約4万4000円増えて約22万円になるということです。
年収400万円のサラリーマンは手取り年収が307万6000円なので、月収換算すると25万5000円です。1ヶ月の手取り分が消費税で消える計算です。
ちなみに、日経によると、「1000万円以上~1500万円未満」の人は、消費増税で負担が約7万4000円増えて約36万8000円になると推計しています。
年収1000万円の手取り年収は718万1000円。消費税の負担額を差し引くと、手取りは681万3000円。月収換算では約56万7000円に減ってしまうのです。
所得税や各種保険料などを天引きされ、さらに、その手取りから消費税を負担する多重課税で、いつの間にか、身ぐるみを剥がされているような状態です。
「いったい、自分は誰のために働いているのか」と疑問を感じる人は少なくないと思います。
デフレ進行で現金の価値は高まる
これまで見てきたように、私たちは国の見えざる手によって、お金を剥ぎ取られています。
しかも、すでに消費税は10%で止まらないという見方がもっぱらです。
将来の年金不安が強まる中で、ここまで公的負担が増えて、しかも増税がさらに続くという観測が消えないと、何が起きるでしょうか?
買い控えによるデフレです。
デフレになると、現金の価値が高まります。
デフレーション 経済全体で見た需要と供給のバランスが崩れること、すなわち総需要が総供給を下回ることが主たる原因である。貨幣的要因(マネーサプライ減少)も需給ギャップをもたらしデフレへつながる。物価の下落は同時に貨幣価値の上昇も意味する。(出典:Wikipedia)
増税に嫌気して買い控えが起これば、需給のバランスが崩れ、物が売れないために現金の価値は上がります。
現金価値の上昇は商品の値下がりで実感することになります。
ですから、消費税をはじめ各種公的負担から身を守る最初の方法は、まずは不要不急な物は買わないことです。
デフレの時期は買い急がないのが鉄則!
デフレになれば、1000円で5個買えたものが、数ヶ月後には7個買えるようになるかもしれません。
デフレになっても、国は安泰ですが、メーカーや小売り業者が痛みます。
にもかかわらず、経団連など経済団体は消費増税の旗振り役である現状に、いま日本が置かれている病の深さを感じます。
しかも、「増税して財政再建しなければ年金や社会保障が危ない」という悪質なプロパガンダを伴っています。
国債の9割は日銀や銀行など金融機関が保有しています。つまり、身内からの借金です。身内は満期が来ても買い換えるわけですから、実態的には借金ではないのです。
架空の脅し話はそろそろやめるべき時期が来ていると感じます。
また、消費増税時は当初、軽減税率や各種還元措置が実施されますが、国民が10%に慣れてきたら、優遇措置が消滅するのは、過去の消費税の歴史が示しています。
しかし、生活必需品は買わないわけにはいきません。ですから、対策が必須です。
次回は、具体的な防衛策を考えたいと思います。