脱サラ後に失敗する起業のタイプ
脱サラ組の起業が陥りがちな落とし穴
ストレスばかりの会社から脱サラして、起業して一国一城の主になりたいと考えるサラリーマンは多いと思います。
しかし、下手にサラリーマン経験があるだけに起業したものの、無意識のうちに失敗への道をたどる人は少なくありません。
なぜ、サラリーマン経験が起業のマイナスになるのでしょうか?
ひとつは、会社を作って独立することが目的化し、立派な事務所を構え、最初に多額のお金をかけてしまうからです。
私の妻の場合、20数年前に資本金300万円でスタートしました。
都心の古い一軒家を格安で借りて設備投資も最低限に抑えました。
いまなら、インターネット料金など各種料金が安くなっているので、もっと少ない資本金で会社を立ち上げることができたかもしれません。
まずは、見栄を張らずに、できる限り、お金を1銭もかけずに起業することを考えることが大切です。
脱サラ組が見落としがちな業種選びの罠
もうひとつ、脱サラ組はどんな商品やサービスに需要があるのか市場調査せず、中長期的な事業計画も作成しないまま、会社を立ち上げがちです。
なぜなら、一国一城の主(あるじ)になることが目的化しているからです。
さらには、脱サラ後に退職した会社と同じ分野で起業しがちでもあります。自分には経験があって勝手が分かっていると思い込んでいるからです。
しかし、サラリーマンは会社の中で担当業務が細かく分かれ、自分がやっていたのは、その一部の業務にすぎないことに気づきます。
辞めたいと思ったような会社の業務分野ですから、需要も先細りしていることも少なくありません。
起業は前職にこだわらず、需要の成長が見込まれる全く別の業種を選ぶことも重要です。
しかし、需要が期待できる業種を選択するだけでは成功しません。
それ以上に重要なことがあります。
好きな仕事か否か?赤字に何年耐えられるか?
起業する際、最も重要なことは、販売しようとしている商品・サービスを好きなのかどうかという点です。
我が家の場合、一生続けられるほど好きな仕事だと判断しました。だからこそ、20年以上経営が続いたと考えています。
起業してしばらくは苦しい経営が続き、社員に給料を支払うと、自分の給料はなく、無給で働く状況がしばらく続くかもしれません。
そのとき耐えられるのは好きな仕事であるということです。
もうひとつ、忘れていけないことは、赤字が続いた場合、何年耐えられるか計算しておくということです。
可能な限り避けるべき事は、借金して会社を立ち上げることです。
借金は金利コストだけでなく、返済自体が心理的圧力となり、経営がうまくいかないと情緒が不安定になって、社員にきつくあたるなど人材も逃げてしまいます。
赤字経営でも3年くらいは耐えられるだけの資金を貯めた上で起業するのが理想的です。
起業に成功する脱サラ組のタイプとは?
副業に成功した延長線上に起業を考える
早期退職してから「どんな会社をやろうか」と考える脱サラ組は少なくありません。
しかし、それでは、早晩、生活費にも困り、資金ショートに陥ってしまうでしょう。
一方、会社員時代に副業に取り組んでいた人は、脱サラ後に副業を事業化すればいいだけですから、成功する確率は格段に高まります。
副業で培った収入があるため、脱サラ後も生活費に困りません。
脱サラ組の起業は、副業で成功した末の起業が黄金モデルだと思います。
資金調達や専門知識などの不足が起業ができない理由
多くの人たちが起業を目指していますが、まだ、踏み切れていない人もまた多いのが実情です。
2017年の中小企業庁白書「中小企業のライフサイクル」には、起業を準備している人が起業できていない理由として、次のような調査結果が掲載されています。
ご覧のように、起業できない理由として、最も多かったのは性別・年齢にかかわらず、「資金調達ができていない」と回答でした。
次に、男性の全年齢層、女性の34歳以下が「事業に必要な専門知識、経営に関する知識・ノウハウの不足」を挙げています。
しかし、この回答は当然の結果だと思います。
資金もなく、知識も不足していたら、起業しても失敗するのは目に見えているからです。
回答をした人たちは、きっと、行き当たりばったりではなく、きちんと先々を読める計画性のある人たちだと推測されます。
サラリーマンが起業するために理想的な方法と手順
では、サラリーマン経験は起業に役立つかどうか?
ほとんど役立たない、あるいはマイナスになると考えています。
しかし、サラリーマン経験が役立つ起業の分野がないわけではありません。
それは、サラリーマン経験をコンテンツにできるブログやYouTubeです。
ブログやYouTubeといったコンテンツ資産を蓄積して起業する方法は、サラリーマンと親和性がとても良い分野です。
その理由は以下の通りです。
- 始める際のコストやリスクが少ない
- 自分の好きな分野を選択できる
- サラリーマンの副業としてスタートできる
- 店舗が不要で経営コストが少ない
- 失敗しても経済的損失が少ない
サラリーマン時代の経験は役に立つ情報になることに気づいていない人は意外に多いものです。
しかも、ブログなどインターネットビジネスは店舗も不要なので家賃など経営コストもほとんど不要です。
何よりも、サラリーマン生活を送りながら副業で始め、収入が増えた段階で起業化できます。
ブログがコンテンツ資産に成長すれば、数百万円という月収も可能なので、お金のなる木を育てる事業ともいえます。
つまり、家賃収入を生む不動産事業を育てるような感覚なのです。
双方が異なるのは、コンテンツ資産は不動産と違って、ほとんどお金がかからないということです。