詐欺師は名俳優も驚くほどの電話応対だった!
巧妙化する電話を利用した特殊詐欺!
日本は格差社会が広がるにつれて、高齢者を狙ったあの手この手の特殊詐欺が横行する国家になってしまいました。
特殊詐欺とは、面識のない不特定多数の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、対面することなく被害者をだまし、不正に入手した架空または他人名義の預貯金口座への振り込みなどの方法により、被害者に現金などを交付させたりする詐欺です。(出典:鳥取県警察)
息子になりすまして「会社のお金を落としてしまった」などと電話で騙して、お年寄りにお金を立て替えさせる「オレオレ詐欺」もさらに巧妙化しています。
最近は被害者や警察、弁護士など何人もの詐欺師が入れ替わり立ち替わり電話をかけて混乱させてお金を奪う「劇場型詐欺」や、事前に何度も電話をかけて、詐欺が可能かどうかに加えて、相手の家族状況や自宅の現金を確認する「アポ電詐欺」も目立ってきました。
今回は、電話を使った詐欺師との会話を紹介したいと思います。
警視庁が公開した特殊詐欺電話の音声
最初にご紹介するのは、産経新聞が2年前に警視庁から入手した特殊詐欺の電話音声です。
これは息子役が1千万円の小切手と携帯電話が入ったかばんをなくしたと相談したあと、被害者に息子役が電話をかけ直してきたところから音声が始まります。
息子役だけでなく、「上司役」や「遺失物センター役」の詐欺師が次々電話をかけてきて、被害者が完全に信じ切っていく様子が分かります。
この音声で分かるように、この詐欺グループは簡単にお金を受け取りに行こうとはしていません。上司役の詐欺師の声は非常に落ち着いていて、まさに誠実な上司といった雰囲気をかもしだしています。
むしろ、この被害者は早くお金を渡さないといけないという気持ちを強めて、会社の人間がなかなかお金を受け取りに来ないことを息子役に怒っている様子さえあります。
まさに、電話を利用した詐欺師は役者顔負けの演技を展開しています。
特殊詐欺に騙されないために最低限やるべきことは何か?
見知らぬ人に住所など個人情報は絶対に伝えないこと
先ほど、ご紹介した電話音声は、複数の登場人物(詐欺師)が登場する典型的な「劇場型詐欺」の手口でした。
こうした劇場型詐欺に加えて、最近は、事前に相手の家族構成や現金、住所などを聞き出そうとする「アポ電詐欺」が社会問題となっています。
家に押しかけてなっているのは、老夫婦を縛ってお金を奪ったり、殺人事件まで発生していて、手口は凶暴化しているためです。
このため、この3月、国民生活センターは「その電話、アポ電かも-知らない番号からの電話に出るのは慎重に-」と題して注意を呼びかけました。
このなかで、国民生活センターは、実際にあった相談事例も公開しています。(事例の出典:いずれも国民生活センター)
先日テレビの制作会社を名乗る人から、「所得は500万より上ですか」などの質問があったが、「お金のことについては、答えることができない」と言って電話を切った。今日、警察の協力団体を名乗る者から、「一週間前にテレビ番組に関して電話がなかったか。捜査で押収した名簿に名前が登録されているが、一つだけの団体からは削除できない」というので、「親戚に警察官がいるので相談してみる」と言うと、態度が変わり電話も切れた。(2019年2月受付 70歳代 女性)
先ほど市役所の職員を名乗る者から電話があり、「還付金がある。手続きをするので取引銀行と口座番号を知らせて欲しい。また、還付対象者になるかどうかの判断基準として口座残高が50万円以上かどうか確認したい」などと言われた。不審に思ったが取引銀行を伝えると「後ほど、銀行から案内の連絡があるので待つように」と言われ、電話が切れた。(2019年1月受付 70歳代 女性)
昨日、消防署の職員と名乗る人の電話で、「一人暮らしか」と聞かれ、「はい」と答えてしまった。「何の用か」と聞くと、「災害時にすぐに救助できるように、一人暮らしか確認をしている」と言われたが、消防署がそのようなことをするとは聞いたことがなく不審な電話だった。(2019年2月受付 年齢不明 女性)
家族構成や資産状況を聞かれたら電話は直ちに切ることが重要
アポ電詐欺は、最終的に被害者に接触し、お金を奪うのが目的です。
ですから、詐欺師を近づけないようにする対策が重要です。
国民生活センターは次のように呼びかけています。
- 知らない電話番号からの電話に出るのは慎重に。着信番号通知や録音機能を活用しましょう
- 会話から個人情報が知られます。家族構成や資産状況を聞かれたらすぐに電話を切りましょう。また、家族を名乗る電話も一度切ってかけ直すことでトラブルを避けられます
- 特に高齢者には日頃から家族や身近な人による見守りが大切です
詐欺師がアポ電で知りたがっていることは、次の点です。
- 家には高齢者しかいないかどうか
- 家の中に多額の現金があるか
- 名前と家の住所
この3点を知りたいはずです。ですから、こうした個人情報を聞き出そうとしてきたら、すぐに電話を切ることが肝心です。