早期退職は定年退職以上に周到な準備が必要だ
サラリーマンが息苦しさを感じる理由
社風や上司のパワハラだけでなく、最近は自由な人生を求めて早期退職を目指す人が増えてきました。
どこの企業も、働き方改革を無視できず、労働時間の短縮や有給休暇の取得など労務環境の改善に一転して前向きです。
一方で、部下に厳しく指導すると「パワハラだ」と疑いをかけられたり、女性社員に対する態度に注意しないと「セクハラ」と訴えられるリスクもあります。
いまや、サラリーマンは「早く自由の身になりたい」と思う人が増えても不思議ではないほど多くのタブーや規律でがんじがらめになっています。
「確かに」と感じる規律やNGもありますが、私には「それはやりすぎではないか」と思えるNGもあります。
それでも訴えた者勝ちの社会です。
ある企業では、若手社員の将来を心配して指導した上司がその社員からパワハラだと訴えられ、その結果、上司は左遷されたという話を聞きました。
訴えた若手社員については、どの部署も怖くて引き取り手がなく、結局、遊んでいても給料がもらえるような部署に異動したということです。
それ以降、若手社員は就業時間中、サボっていても誰にも注意されることもなく、20代から悠々自適なサラリーマン生活を送っているということです。
誰が被害者なのか分からないような話ですが、やっかいなトラブルが発生すると、早めの火消しを優先する会社は多いものです。
そんなリスクとストレスに直面するサラリーマンが早期退職を目指すのは、ある意味、当然の成り行きにも思えます。
サラリーマンという身分の価値は退職後に実感する
しかし、早期退職すると、今度は「日本はサラリーマンファーストの社会なのか」と実感するはずです。
サラリーマン時代だったら難なく可能だったことが、次々に不可能になるからです。
- 住宅ローンは組めなくなる
- 新たにクレジットカードは持てなくなる
- 賃貸住宅の契約審査を落とされる
- 自分が何ものなのか示す名刺がなくなる
- 一家の大黒柱として家族から尊敬されなくなる
サラリーマンは退職によって信用と精神的支えを失っていることを骨身に感じます。
現役時代は会社内のことで不安やストレスがありますが、そのトレードオフとして、サラリーマンは想像以上に恵まれた身分を保証されていたのです。
ですから、早期退職は定年退職以上に、相当な覚悟と準備が必要です。
早期退職後に後悔しないために必要な準備とは?
現役時代に必要なものはすべて揃える覚悟が必要
日本はストック(資産)よりもキャッシュフロー(年収)を重視する社会です。
貯蓄があっても収入が少なければ、賃貸住宅に申し込んでも審査で落とされてしまいます。
エリートサラリーマン以上の収入があってもマンションの契約を断られたというYouTuberがいるほど、まだまだフリーランスや自営業の信用度が低く、会社員が優遇されているのが日本社会の現実なのです。
ですから、まずは現役時代に住宅を購入することが重要です。退職したら住宅ローンを組むのは難しうえに、賃貸住宅も借りづらくなります。
賃貸住宅は引っ越しのたびに審査が待ち受けています。入居審査で落とされ、精神的ダメージを受けるくらいなら、自分所有の家やマンションを買っておくことが気分的にも楽なものです。
もう一つはクレジットカードです。
クレジットカードは現金がなくても買い物でき、ポイントが付与されてお得なだけでなく、いざという時にはキャッシングも可能です。
ですから、クレジットカードは一文無しになった時の最後の命綱にもなるのです。
現役時代に、できる限り、年会費無料のクレジットカードを集めることが重要です。
現役時代は金融資産だけでなく複数の収入源が不可欠
お笑い芸人が反社会的な勢力との関与などコンプラを理由に所属事務所から契約解除され、テレビから姿を消す芸人が後を絶ちません。
ただ、大物芸人はすでに金融資産を築いているので、仕事を失っても生きていけるはずです。
しかし、サラリーマンはそうはいきません。
ですから、現役時代に最低でも10年ほどは無職でも生きていける程度の資産や、給料以外の副収入を確保しておくことはとても重要です。
仮に月収10万円ほどの副収入があれば、早期退職しても金融資産の目減りは抑制することができます。
それだけでも、経済的な不安は、相当、軽減できるはずです。
ですから、早期退職を目指している人は現役時代に自分の副業を育てることが不可欠です。
いまは月収20〜30万円程度ならば、ブログを数年継続するだけで可能な時代です。
現役時代に入念な準備さえしていれば、早期退職は怖くはありません。
むしろ早期退職は歓迎すべき人生の転換点だと思えるようになるものです。