「人生100年時代」と言われる長寿社会になりました。
自分が想定していた以上に長生きするリスクを考えなくてはいけません。
一方で、大手企業を中心に、黒字の好業績企業でさえ、40代以上の中高年社員をリストラする動きを強めています。
人生が伸びたのにもかかわらず、企業に一生頼ることは危険な時代となり、私たちは否応無しに人生のサバイバルゲームに放り投げられているのです。
しかし、何も怖くはありません。
確かな人生観を持って正しい働き方や資金計画さえ心がけ実践していれば、生き残ることは容易です。
私は今年、大手企業を早期退職し、現在は経済的な不安もなく自由に暮らしています。
自分が思い描いたような早期リタイア生活を実現できたのは、サラリーマン時代の戦略と実践が間違っていなかったからだと考えています。
今回から3回にわたって、私の経験を交え、長寿時代のサバイバル戦略を考えていきます。
第1回目は、人生100年時代によって生き方改革を考える重要性です。生き方を変えるわけですから働き方も変えないといけません。
この生き方や働き方の改革というテーマは、その後の資金計画や経済的豊かさ、そして生きがいの有無に大きく影響を与えるものです。
その意味では、サバイバル戦略の根幹ともいえます。
生きる意味を考えると生き方改革や働き方改革は見えてくる
長寿時代で標準的な人生の歩み方が変化した!
「人生100年時代」と言われる現在、私たちは人生の長さをどの程度予定しておくべきなのでしょうか?
国立社会保障・人口問題研究所は、30年後の2050年、男性の平均寿命は85.35年、女性は91.80年と予測しています。(参考)
人生100年はオーバーだとしても、30年後、男性は85歳、女性は91歳まで生きることを前提に経済的な準備が必要です。
かつて人生のモデルケースは3つの時期に分けられていました。
- 教育期・・・生まれてから高校や大学卒業まで
- 労働期・・・就職から定年退職まで
- 引退期・・・60歳以降の年金生活
就職前の学習期、就職して家庭を支えつつ老後に備える労働期、そして定年退職後の引退期を経て人生を全うするのが基本的なモデルケースでした。
しかし、平均寿命が80代や90代という長寿時代になると、大きな問題が生じてきました。
少子高齢化の進行と引退期の長期化で、年金財政が高齢者を支えきれなくなったのです。
このため、政府と企業は、60歳の定年退職後に、もうひとつのステージを作りました。
現在の人生のモデルケースは次のように変化しました。
- 教育期・・・生まれてから高校や大学卒業まで
- 労働期・・・就職から定年退職まで
- 準労働期・・60歳から70歳まで低賃金で働く
- 引退期・・・貯蓄と年金で生活する
教育期、労働期のあとに、60歳以降も低賃金で働く「準労働期」が追加されました。
長くなった人生を生活費稼ぎに消化するのか?
若い人は驚くかもしれませんが、昭和時代には55歳定年が一般的な時期もありました。
長寿化とともに定年退職年齢が引き上げられ、最近は政府が企業に定年延長を推奨し、70歳まで働く方向に向かっています。
10年以上前、私の職場にも60歳の定年退職後も、会社に嘱託で残って低賃金で働く先輩たちが出現しました。
ある先輩は、昼休みになると、65歳を過ぎたら海外生活するという夢を私に打ち明けたものの、その夢を果たす前に63歳でこの世を去っていきました。
また、別の先輩は部長経験者でしたが、嘱託で会社に残り、かつての部下の指示のもとに元気なく働いていました。
私はそんな準労働期の生き方を深く考えました。
多くの先輩たちは決して充実した生活を送っているように見えなかったからです。
それでも、まだ子供の教育費が必要だったり、会社を辞めても他にやることがないといった理由で、責任のない低賃金で単純労働に従事していたのです。
60歳から65歳といえば、海外旅行したり、若い頃の夢を追いかけられる人生最後の健康な時期ともいえます。
その貴重な時期を生活費稼ぎに費やす人生を選択する気持ちにはなれませんでした。
では、どうするべきなのか?
長寿化が人生改革を迫っているのですから、私も人生改革が必要だと考えました。
人生改革には”真の働き方改革”が必要不可欠だ
真の働き方改革は残業ゼロや労働時間の短縮ではない
多くの企業で働き方改革が広がっています。
その内容は残業禁止や勤務時間の短縮、有給休暇や育児休暇・育児休業の取得などです。
しかし、そんな働き方改革を消化しているだけでは、決して将来の幸福は実現できないと考えました。
なぜなら、働き方改革は労働規制であって、将来の幸福に繋がる収入増戦略ではないからです。
将来、自分自身を真に解放するためには、収入を増やして手段としてのお金(金融資産や貯蓄)を増やすしかありません。
ですから、私は真の働き方改革はサラリーマン一筋の働き方ではなく、サラリーマンと副業のダブルワークだと考えました。
ダブルワークというと、労働強化的なイメージを抱きます。
しかし、好きなことを副業に選んで、そこから収入が生まれるのは娯楽のような感覚でした。
働き方改革で生じた空き時間を将来のための副業に振り向ける。
これが私が意識した私自身の働き方改革でした。
副業に労働感が希薄な理由とは?
最近、政府も副業を奨励するなかで、一部に会社の勤務と副業の労働時間を合わせた過労を懸念する向きもあります。
しかし、それは副業の本質を理解していない人の議論だと感じています。
もちろん、好きなことを副業にしたとしても労働は伴います。
ただ、労働の質が異なるのです。
好きな副業は熱中できるので時間の経過が早く感じられるものです。
しかも、好きなことから副収入が発生すると、大きな自信にもなります。
尊敬できない上司の指示で業務に従事したり、気の進まない飲み会に参加するよりも、精神的に、はるかに心地良く充実した時間を過ごせるものです。
ただし、お金のためだけにバイトのような雇われ仕事に励むのは、質的に会社の仕事と同じです。
新たな労働感を感じるため、労働強化といえるかもしれません。
ですから、次のことを心がけることが重要です。
好きなことを副業にして副収入が生まれたら理想的です。
そんな副業を見つけることができたら、真の働き方改革を手にしたようなものです。
黄金期を無駄に過ごさないために重要なこと
私は資金的にも人生経験も充実している50〜60代が人生の黄金期だと考えています。
この黄金期に充実感や解放感を感じることなく、お金のために時間を消化してしまうのは、とても、勿体無いことです。
私自身の早期リタイアを考えると、経済的孤立と自由な生活を実現するには、30代から40代の取り組みがとても大切だと考えています。
幸いなことに、最近は政府が働き方改革を推進し、企業に副業の解禁を推奨しています。
まさに、人生の黄金期に向けて準備する環境が整いつつあります。
その変化を利用しない手はありません。
自分が最も幸福に感じる人生は、どんな人生なのか?
まずは、自分自身の生き方を考えることです。
次に、その生き方を実現するためには何が不足し、何が必要なのか、考えないといけません。
その整理ができたら、あとは将来のために真の働き方改革を実行するだけです。
人生100年時代のサバイバル戦略は、決して難しくはありません。