過去最高益でもキリンHDが早期退職を実施する理由
過去最高益のキリンが「45歳以上の早期退職を実施」とスクープ報道
昨年から今年にかけて、大手企業が45歳以上の社員をリストラする動きが相次ぎました。
リストラの多くは業績不振に陥った企業が中高年社員を削減し人件費を削減するのが狙いでした。
ところが、週刊ダイヤモンドは、2018年度に過去最高益を叩き出したキリンホールディングスまでもが45歳以上の社員を対象に早期退職を実施すると報じました。(参考:「キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情【スクープ】」)
これは、「業績不振型リストラ」から、手元資金が残っているうちに早期退職を実施する「先行型リストラ」です。
週刊ダイヤモンドも次のように報じています。
これまで日本企業が実施する早期退職では、業績不振で追い詰められた企業が半ば強制的に人件費をカットする「リストラ」型が主流だった。
だが近年は、手元にキャッシュがあるうちに余剰人員を削減する「先行実施」型の早期退職が増加している。業績好調な企業が、成長分野への事業展開を図るために、財務的な余裕のあるうちに人員の適正化を進めるケースが増えているのだ。今回のキリンのパターンもこの典型例である。(出展:週刊ダイヤモンド「キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情【スクープ】」)
いよいよ45歳以上の中高年が不要とされる時代が本格化しそうですが、これはサラリーマンが生き方の革新(イノベーション)を迫られているということでもあります。
サラリーマンは勤続年数20〜25年時代の始まり
政府は「人生100年」のかけ声とともに、企業には70歳まで社員の雇用を推奨しています。
しかし、企業は高齢社員者を押し付けられたらコスト増だけでなく競争力も落ち込むことを懸念しています。
高齢社員は体力や目や耳が弱まるだけでなく、判断力や記憶力も低下します。ITやプログラミングなど新たなスキルを身に着ける意欲にも欠けてきます。にもかかわらず、口だけは役員並みに達者です。
企業にとっては、口達者なポンコツ社員ほど厄介なものはありません。しかも、人件費コストも高止まりしています。
ですから、今後はキリンのように、業績に関係なく、先手を打って45歳以上の社員に早期退職を募ってリストラする企業は急増する可能性があります。
サラリーマンにとって、”45歳リストラ”が意味することは何でしょうか?
一般的な勤続年数は20年という時代が到来するということです。
70歳まで雇用延長どころか60歳定年まで働けたら御の字です。
45歳で早期退職し、そのあとの人生は転職かフリーランスが一般化する時代が、もうすぐ、そこまで来ているのかもしれません。
サラリーマンは早期退職した方が幸福になれる
サラリーマンにとって45歳リストラはむしろ朗報だ
多くの人は45歳リストラ報道を見て、あの会社に勤めている人はかわいそうだと感じているかもしれません。
しかし、私はそうは思いません。
早期退職する社員には退職金の割り増し金を準備してくれるリストラなら、朗報と感じている先進的な社員もいるのではないかと思うからです。
日本のサラリーマン社会が45歳で途中リタイアするのが一般化すれば、堂々と早期リタイアする文化も醸成されるはずです。
サラリーマンがなぜリストラを恐れるのか?
もちろん経済的理由もあると思いますが、もっとも大きいのは世間体(せけんてい)です。
日本は恥の文化です。
早期退職することで、家族から「お父さんが仕事もせずに昼間からブラブラされるのがご近所に恥ずかしい」と言われるかもしれません。
他人と違った人生選択を奇異の目で見られるのが恥ずかしいという心理が、早期退職して自由に生きる選択を厳しくしています。
45歳退職を前提に人生設計を再構築する重要性
中高年が不要とされる企業文化が広がることで、20〜30代のサラリーマンは人生設計の変更を求められているともいえます。
一般的なサラリーマン人生のモデルは次のように変化する可能性が高いからです。
- 昭和から平成 新卒入社→60歳定年→嘱託社員→65歳から年金と貯蓄で老後生活
- 令和 新卒入社→45歳前後で退職→転職かフリーランス→様々な早期リタイア
まずは45歳までは本業と副業で、60歳まで働いた収入と同じくらいの総収入を目指します。
45歳前後で退職したあとは、労働環境の良好な企業に再就職するか、副業スキルでフリーランスや起業、あるいは早期セミリタイアを選択する。
こうした様々な選択ができるように準備することが大切になってきます。
その意味では、人生を会社に捧げるよりも、一生楽しめて収入をもたらす副業を開拓することこそ重要な時代になってきたと改めて感じています。