プロが逃げ出した株式相場に楽園があった
株式投資とFXの勝ちパターンは真逆だった
私がリタイアを目指し始めたころ、将来のために実践的に取り組んだものがあります。
それは外国株とFX(外国為替証拠金取引)でした。
株式投資は現物取引、先物は避けました。一方で、FXは当時、レバレッジが100倍でも大丈夫でしたから、高レバレッジで勝負しました。(現在はFXのレバレッジ規制で最大25倍です)
最初は株式投資に取り組み、運良く結構な利益を手にしたので、その利益を軍資金にFXでレバレッジをかけて大きく増やそうと考えました。
しかし、最終的には株式投資の利益の多くをFXに吸い取られてしまいました。
それはなぜだったのか?
株式投資とFXでは基本的な勝ち方が真逆だったからです。
素人が投資でプロに勝つのは至難の技
私は、投資の未経験者が定年退職後に「生活費の足しにしたい」とトレードで稼ぐのは厳しいと考えています。
なぜなら、将棋の初心者が定年退職後にプロ棋士に賭け将棋を挑み、ひと儲けを企てるのと同じだからです。
機関投資家らプロはチャート分析に長けているだけでなく、いまや、人工知能やコンピューターを駆使して素人を養分に稼いでいる人たちです。
プロの情報量や投資ツールに素人がかなうはずもありません。
しかし、株式投資に関しては素人の私でも勝てる方法がありました。
株式投資は暴落相場の逆張りで勝利した
プロの投資家、とくに海外の機関投資家も、所詮、雇われの身です。
トレード成績を定期的に評価され、好成績を出せないと、減俸や解雇が待っています。
ですから、リーマンショックのような100年に1度の大暴落に直面すると、狼狽して優良株でもクズ株と同じように投げ売りしてしまいます。
私自身、そんな暴落相場で必死に買って300万円ほど利益を手にしました。もちろん、購入したのは優良と判断した銘柄です。
プロが逃げ出した相場で逆張りし成功する味を知ってしまったのです。軍資金も増えたので、当然、気が大きくなります。
次に参入したのはFXでした。
しかし、大きな間違いを犯してしまったのです。
株式とFXは勝利の方程式が正反対だった
暴落銘柄を買うのは時間を買うということ
FXは、レバレッジを利用できます。
レバレッジが10倍なら100万円の資金でも1000万円分の取引ができます。レバレッジが100倍なら、1億円分の取引が可能になります。
ですから、高レバレッジで勝てれば、大儲けできる点がFXの魅力でした。しかし、その魅力は、危険性と背中合わせでした。高レバレッジで読みが外れたら、あっという間に軍資金が底をつき退場になってしまいます。
私は、株式投資では急落株を買って反発で売る「逆張り」で成功しました。
その成功体験がFXでは仇(あだ)になったのです。
FXは逆張り厳禁!順張りが基本だった
株式の逆張りで成功した私は、その逆張りをFXトレードにも持ち込みました。
ドル円やポンド円のロング(買い)が急落した局面でポジションを購入し、値が戻るのを待ちました。
しかし、FXは株式と違って高レバレッジをかけています。
値が下がると、含み損がまたたく間に増えてしまいました。いったん、損切りしたあと、さらに値が下がったところで、再び、逆張り。ロングを購入しました。
この逆張りで利益を確定することもできたのですが、総じて負けが多く、軍資金はまたたく間に底を付きました。
あとで知ったのは、FXは逆張りではなく順張りが基本だということです。
もうひとつ、短期トレードに徹することも大切でした。長々とポジションを市場に放置すると、相場が逆に振れて強制ロスカットの危険性があるからです。
FXは短期トレードで順張りし、早め早めに決済して、コツコツ利益を積み上げていくことが基本でした。
株式は「逆張り・中長期保有」、FXは「順張り・短期保有」
株式投資は基本的にレバレッジが1倍です。
ですから、強制的なロスカットを心配することもなく、長期間ポジションを持ち続け、株価の反発を待つことができました。
つまり、株式の勝利の方程式は「逆張り」「中長期保有」した。
しかし、FXは高レバレッジだったので、常に強制ロスカットの危険性を意識し、短期トレードで利益を確保する必要がありました。
つまり、FXの勝利の方程式は「順張り」「短期保有」だったのです。
このことに気づいたのは、FXで相当、損失を被ったあとでした。
失敗に懲りずにFXを再開する中年おじさん
ただ、FXには例外があります。
それは、1ドル=80円といった超円高までドル円が急落した場合、2倍くらいの低レバレッジで逆張り(ロング)し、1ドル=100円程度まで反発するのを待つトレードもあり、ということです。
低レバレッジなので、1ドル=40円まで円高が進まなければ、強制ロスカットされることはありません。むしろ1ドル=100円に戻す可能性の方が高いからです。
勝利の方程式は、どの分野も同じだと思い込んでいた私の失敗談ですが、リタイアを機にFXは再開しようかと考えています。
もちろん、楽しむ程度のトレードです。
しかし、そのときは、とことん「順張り」を心がけたいと思います。