日本企業の人事文化が大きく変化している!
入社後20年余りで「賞味期限切れ」となる日本のサラリーマン
先日、今年9月までに上場企業の27社が希望・早期退職を募集し、6年ぶりにその人数が1万人を突破したというニュースを紹介しました。
2019年1月-9月に希望・早期退職者を募集した上場企業は27社に達し、対象人数は1万342人と6年ぶりに1万人を超えたことがわかった。
社数はすでに2018年(1-12月)の12社を大幅に上回り、2014年の32社に迫っている。また、人数も2010年(同)の1万2,223人を超える勢い。(出典:東京商工リサーチ)
リストラ対象は45歳以上の中高年社員が中心です。45歳といえば、大卒で入社して、まだ20年余りしか社歴はありません。
それでも企業が「賞味期限切れ」と判断してしまうのです。
「仕事のできない中高年がいなくなるから万々歳だ」
若手社員がこう思うかもしれませんが、明日は我が身です。むしろ現在の若手の社員こそ、近い将来、企業に本格的に捨てられる時代が到来するとみるのが賢明なる先読みだと考えています。
日経が報じた有能な若手社員争奪戦が衝撃を与えた理由
日本経済新聞が11月5日に報じた「IT人材、年収3000万円の衝撃」という記事が話題になっています。
Google、Apple、Facebook、AmazonのGAFX(ガーファ)と呼ばれる米国のIT企業や、華為技術(ファーウェイ)など中国のIT企業は、有能で若い人材には30歳で1000万円以上の高給を提示して人材の争奪戦を繰り広げています。
日経の取材に対し、NTTの澤田純社長は「研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる」と打ち明けたといいます。
せっかく育てても引き抜かれるなら、逆に打って出るしかないと、NTTデータは2018年12月、能力に応じて年収2000〜3000万円を支払う新たな人事制度を発表しました。
NTTデータの平均年収は820万7000円。新たな人事制度は他社にも「NTTショック」を与え、NECも新入社員や若手社員に年収1千万円を支払う制度を導入し、海外の人材獲得に乗り出しました。
その人件費はどこから創出するのか?
当然、中高年のリストラです。
NECグループは今年3月までに約3000人が早期退職などで去りました。
大規模なリストラ策を推進している富士通もまた、有能なデジタル人材に年収3千万~4千万円の報酬を出す構想があり、労働組合と協議中だということです。
日本企業は欧米企業と同様、有能な若手社員を高給で獲得し、不要な中高年は大量にリストラする企業文化を着実に身につけようとしています。
中高年サラリーマンが企業文化の変化から身を守る方法とは?
日本企業の人事制度が欧米化を避けられない理由
「若手を優遇して家族を抱える中高年をリストラするのは道義的に許せない」
こんな風に批判しても、人事制度の欧米化は止まりません。
なぜなら、人事制度を革新しなければ、企業は生き残れないからです。
中国のIT企業はいまや米国のGAFAを脅かすほどの技術力を有していますが、その人材はもともと米国西海岸で技術や知識を身につけた人たちです。
いまや、どんな企業もITやデジタルを無視しては生きていけません。
国境を超えた熾烈な人材獲得競争が繰り広げられているのに、終身雇用など日本的な企業文化に拘束され続けるわけにはいかないのです。
では、この現象はIT関連企業だけでしょうか?
日本企業には良くも悪くも「横並び」という文化もあります。
企業文化の変化に不満を言っていても状況は変えられません。
むしろ、「有能な若手優遇」「賞味期限切れの中高年削減」は一層拡大すると考えて、いまから準備することが重要なのです。
近い将来に備える3つの道
企業の人事制度が欧米化するなか、サラリーマンには3つの選択肢があります。
- 会社にしがみついて低収入になっても70歳超まで労働する人生
- サラリーマンのスキルや能力を高めて出世や転職を追い求める人生
- 早期退職して自力で稼ぎながら自由に生きる人生
私が選択したのは3番目の人生ですから、1番目と2番目の選択肢については申し上げるつもりはありません。
どの人生選択が優れているのか優劣はありません。
自分の人生観や能力に最も合致した道を選択するのが賢明です。
ただ、3番目の人生が他の選択よりも優れている点は、人間関係や社内事情などでストレスや不安を抱えて生きる人生ではないということです。
早期退職までに、自力で稼ぐ力を身につけ、金融資産を蓄えて生きがいや社会貢献を考え続ける人生です。
ですから、まずは経済的な基盤を強化することが何よりも重要になってきます。