サラリーマンがネットで会社を買う方法
サラリーマンでもサイトで会社を探して買える時代
日本は中小企業の創業者が後継者難から次々廃業する大廃業時代を迎えています。
そんな中で、会社員がインターネットで企業を簡単に買収できるようになりました。
前回は、優秀な技術・技能を持ち、黒字経営であっても、後継者がいないために廃業している日本経済の実態について言及しました。
最近は中小・零細企業のM&A(買収)を仲介するサイトも誕生し、後継者のいない企業オーナーと会社を所有したいサラリーマンの橋渡し役となっています。
今回は、実際、どんなサイトが存在し、その利用方法や仲介手数料、買収する際の相場について解説したいと思います。
サイトによる企業買収は手順や手数料がマンション購入と似ている
最近は、マンションや持ち家を購入する際、住みたい地域や希望の広さ、予算額に応じた物件を不動産サイトで検索することが一般的になりました。
同じことが、中小企業の売買にも可能になっているのです。
サラリーマンが会社を買うために必要なのは売り案件を調べる事です。
かつて、会社を売りたいオーナー社長は、社員や取引先などに見つからないように銀行などに秘密裏に相談し、買収してくれる会社を探してもらっていました。
ですから、一般のサラリーマンには会社を買収するのは縁遠いことでした。
しかし、いまではM&A仲介会社が売り手と買い手のマッチングサイトを開設しているので、企業買収が身近な存在となりました。
買収コストも、売買が成約したときに手数料などを支払う形式がほとんどで、イメージとしては不動産取引と酷似しています。
では、具体的に、国内最大級の事業承継・M&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」を例にして、会社の購入する方法を見ていきましょう。
買収が成約するまで手数料はゼロ!成約時に3%だけ
国内最大級のTRANBI(トランビ)
前回の記事で紹介したように、中小企業のM&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」は10月6日放送のNHKスペシャル「大廃業時代〜会社を看取(みと)るおくりびと〜」に登場しました。
創業者の高橋聡さんも中小企業の社長で、黒字経営でありながら後継者不在のために廃業する仕入れ先や取引先が多いことに危機感を覚え、スタートしたサイトです。
トランビは買い手も個人や法人といった制約はなく、ユーザー数は10月現在、3万8000人以上に上っています。
一方、売買案件は10月現在、3800件超に上り、数億円以上の会社から数百万円ほどのウェブサイトまで多岐にわたっています。
なお、業種は以下の通り。
- 飲食店・美容
- ウェブサイト・システム
- 商社・小売・流通
- ホテル・旅館・温泉
- ものづくり・メーカー
- 医療・介護
- 住宅・不動産・建設
- 教室・教育・ノウハウ
- その他サービス業
利用方法はサイトに無料登録したあと、興味のある売り案件に交渉メッセージを送り、面談し交渉するという手順になります。
手数料は成約しなければゼロ!成約時に3%支払うだけ
買収費用ですが、成約まで手数料はすべて無料です。成約した時に、成約価格の3%を支払うだけ。完全成功報酬型となっています。
ただ、M&Aの進め方に不安がある場合、M&A専門家に依頼することができます。
その場合、トランビがM&Aを専門とする公認会計士や弁護士、M&Aアドバイザーを紹介しますが、その紹介料も無料です。
専門家依頼の料金はコース別で定額制
ただ、専門家には報酬の支払いが発生します。
想定成約金額が1億円の場合、案件検索から成約まで専門家が代行する「専門家おまかせFAコース」が300万円+交通費(実費)。
案件検索から初回面談直前まで専門家が代行する「専門家おまかせコーディネーターコース」は、売り手は初期費用10万円+月額5万円+交通費(実費)。買い手は初期費用5万円+月額5万円+交通費(実費)となっています。
なお、いろいろな専門家プランがありますが、いずれも定額制で料金が明示されているので安心です。
1億円以下案件の場合、主に、次のようなコースが用意されています。(このほか実費で交通費が必要です)
コース | 内容 | 料金 |
専門家おまかせ FAコース |
M&Aをはじめる前の準備から、交渉成立までを専門家が代行するプラン |
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専門家おまかせ コーディネーターコース |
M&Aをはじめる前の準備から、初回面談直前まで専門家が代行するプラン |
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専門家のアドバイス 会計士コース |
交渉中や成約時に必要な調査等を 会計士に依頼できるプラン |
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専門家のアドバイス 会計士・弁護士コース |
交渉中や成約時に必要な調査や契約書作成を会計士と弁護士にセットで依頼できるプランです。 |
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トランビによると、インターネットによるマッチングなので、億単位の案件が2週間程度で成約した実績もあるということです。
サラリーマンにとって企業買収は意義深い社会貢献になる
日本の技術や伝統を担う多くの中小企業が後継者不在で廃業の危機に陥っています。
まさに、日本経済の屋台骨が崩れ落ちようとしているのです。
しかし、企業で様々な経験を積んだサラリーマンにとって、そんな企業のオーナーになるのは、とても意義深い社会貢献になるのではないかと感じています。
中小企業の買収は、次のような会社員に向いていそうです。
- ビジネスマンとして培った経験や人脈を企業オーナーとして生かしたい人
- 不動産投資より少額資金で日本の技術や雇用、地域経済を守りたいと考えている人
- ゼロから始める起業よりも技術や人材が揃った中小企業に魅力を感じている人
何れにしても、中小・零細企業のオーナーになると、サラリーマン生活では味わえない人生を手にできるのは間違いありません。