若手優遇の陰で中高年に冷遇が進行している
若手確保に初任給25万円の時代
いまや、多くの企業が若手人材の確保に必死です。
その一環として、初任給が徐々に上昇傾向にあります。
人手不足が深刻な大手ゼネコンは、2018年4月から大卒初任給を24万円に上げ、積極的に若手を確保する動きが広がっています。
ゼネコンだけでなく、ユニクロなどを展開するファーストリティリングも2020年春から、大卒の初任給を約2割もアップして25万5000円にする予定です。
厚生労働省によると、18年の初任給は大学院修士課程修了(23万8700円)、大卒(20万6700円)、高卒(16万5100円)など全てで最高になった。日本総合研究所が1~2月に実施した調査では、約1千社の約8割が「若手の人材が不足している」と回答。ユニクロを世界展開するファーストリテイリングは20年春、大卒初任給を今より約2割高い25万5千円にする。(出典:日本経済新聞)
企業が若手の給料を上げて処遇改善することは決して悪いことではありません。
むしろ、若い人材を安く働かせていた時代が長すぎたのかもしれません。
ただ、若手優遇に伴って人件費は増加します。その増加分はどこから調達したのか着目する必要があります。
日本経済新聞によると、医薬品メーカーのエーザイは2019年春、20~30代のベアを中高年より手厚くしました。
それでも、人件費の総額は45歳以上の約300人が3月末で早期退職したため、変わらないと述べたということです。(参考:日本経済新聞)
エーザイに限らず、中高年のリストラや給料削減で、若手の増給分を捻出する傾向は、日本企業に急速に広がりそうです。
ただ、注意が必要なのは、この動きを若手が喜んでばかりもいられないということです。
それはなぜでしょうか?
「明日は我が身」のサラリーマン人生
大学を卒業して22歳で就職したとしても、40代半ばまで20年余りしか時間はありません。
20年という歳月はあっという間です。
自分が中高年になったとき、今度はリストラされたり、給料が削減される側に置かれることを覚悟しなければいけません。
明日は我が身なのです。
30代は40代のリストラ適齢期まで、あと10年です。
結婚し、家庭を持って、子供ができて、住宅ローンや教育費がピークになろうという頃、冷遇される中高年に達するわけです。
かつては若い頃は給料が少なくても、徐々に定期昇給し、60歳の定年までは安定した生活が保証されていました。
ですから、住宅ローンを組み、小中学校から子供を私立に通わせるなど、先々のことを余裕を持って計画することができました。
しかし、今後は「一寸先は闇」という心構えが必要です。
先日、金融庁が「公的年金だけでは老後生活で2000万円不足する」という報告書を発表したため、政界や世の中は大騒ぎしています。
しかし、賢明な人は、その現実は金融庁に言われなくても、すでに分かっていますし、準備に入っています。
40代のリストラが特別なことではなくなっていますから、これまで以上に会社依存を脱することが必要な時代になっているのです。
幸福に生きるためには2つの準備が必須になる
サラリーマンの資産計画は2段階で考える必要がある
日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え、女性に至っては90歳近くになっています。
厚生労働省の調査によると、2017年の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で過去最高を更新し続けています。
金融庁が95歳まで生きるためには金融資産が2000万円足りないという報告書を発表したのも、今後も平均寿命が伸び続け、平均寿命は95歳という時代になることを見越したものと考えられます。
本当に2000万円あれば、95歳まで安心して生きられるのか、改めて検証したいと考えていますが、今回はサラリーマンが現役時代にどう生きるべきか掘り下げたいと思います。
まず第一に、サラリーマンは現役時代を2つの時期に分けて考える必要があります。
まずは入社してから45歳までの前半期と、45歳から65歳までの後半期です。
入社当初、会社の仕事を覚えるのに精一杯の時期が続きますが、30歳前後で仕事にも慣れてきます。
しかし、仕事を覚えた前半期こそが、将来の経済格差を生む最初の分かれ目になります。
会社の仕事に慣れた頃、そこで自己満足してしまうのか、それとも副業で稼ぐ力を身につけ始めるのかという2つの道に分かれます。
会社の仕事に専念するのは、ある意味、気楽ではあります。しかし、中高年になった頃には、すっかり会社依存のサラリーマンになっているはずです。
会社に捨てられたら生きていけないという恐怖心の中で生きることになるのです。
会社依存の人ほど社内で嫌なことがあっても辞めるに辞められず、心を病むリスクも高まります。
一方、会社の仕事に慣れた30代から副業で月10万円ほどでも稼いでいれば、10年間で1200万円の金融資産を手にすることができます。
それだけあれば、不動産投資や株式投資のタネ銭になるでしょうし、起業資金にもなります。
金銭的な面以上に、自分で稼ぐノウハウを身につけていれば、自力で生きる自信もつきます。
自力で生きる自信こそが、中年期から老後の幸福感に大きな格差を生むことになります。
一生雇われて生きるのか?それとも自由な人生を実現するのか?
誰でも40代になると、人生の終着点を考えるようになるものです。
私自身、40代に母親の死に直面して人生の儚さを実感し、せめて50代からはやりたいことを自由にやって生きるが大切だと考えるようになりました。
「このままでは自分の人生は会社のための人生で終わってしまう」という焦りにも似た気持ちが湧いてきたのです。
しかし、頭の中で考えているだけでは、自由な人生を手にすることはできません。
40代で必死に考えたのは自分の力で稼ぎ、自由に生きる経済的な基盤をつくることでした。
まずは、会社の仕事のペースは落とさずに、本格的にブログやサイトに取り組みました。
会社の仕事量は自分で調整できるポジションだったので、副業の時間はある程度捻出することができました。
ただ、睡眠時間は毎日4時間程度に減りましたし、土日も副業の作業に割く日々が続きました。
その日々は、当時は長く感じたりもしましたが、いま考えると、あっという間でした。
5年もすると、副業の収入は給料を上回っていたので、自分で稼ぐコツを掴み、それが自信となり、早期リタイアを実現できたと考えています。
幸いサラリーマンは副業で成功できなくても、ただちに生活できなくなることもありません。
フリーランスの人たちに比べたら、圧倒的に恵まれた環境にあるのです。
30代で副業に着手し、40代からは早期退職も覚悟して副業を本格化する。
この2段階のエンジンのギアチェンジが重要だと実感しています。
もしも、私が40代で副業に本格的に取り組んでいなかったら、いまだに人生の終着点をあれこれ考えて悶々と生活していたと思います。