Amazonが柔軟な労働条件で日本の人手不足に切り込む
仕事量にマンパワーが追いつかない運送業界
地方都市や大都市圏の郊外で百貨店の閉店が相次いでいます。
家族が百貨店で買い物を楽しむ光景はすっかり減って、最近はアウトレットや大型ショッピングセンター、さらにはAmazonや楽天市場などネット経由の買い物(EC)が一般化したためです。
わざわざ店舗に足を運ばなくてもパソコンをクリックすれば、配達業者が自宅に商品を届けてくれる便利な時代。しかし、そのあおりを受けてヤマトなど大手宅配業者が未曾有の人手不足に喘ぐようになりました。
配送する人手不足に対応するため、世界最大級のECサイト・Amazonが、自由な時間に配達業務ができるプラットフォーム「Amazon flex(アマゾン フレックス)」を始めました。
宅配業務の対象は、法人ではなく個人事業主で貨トラックや軽バンなどの軽貨物車を所有していることが条件になります。
このサービスは、Amazonで注文した商品を個人が配達先に届け、配達料として報酬を得ることができるというものです。
個人が宅配するサービスは、すでにスマホアプリで好きな料理を選んで注文すると自宅などに届けてくれるデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」があります。
「Uber Eats」は自転車を利用した宅配のため、多額の報酬を得るには体力や若さが必要ですが、「Amazon flex」は軽貨物車で配達するので、若い人だけでなく中高年の人まで、やる気さえあれば、相当稼げそうな感じがします。
そして、何よりも、Amazonが個人による宅配に参入したことで、働き方や生き方の選択肢が広がることは間違いありません。
その理由について説明していきたいと思います。
「Amazon flex」は報酬振込が翌週と素早い
Amazon Flexは2015年9月にアメリカのシアトルではじまったamazonのサービスですが、すでに個人宅配は米国社会では定着しました。
今回、Amazonが日本で提示したAmazon Flexの労働条件や待遇は、下手な一般企業をはるかに超えています。
「ご自身のペースで稼ぐ」「今すぐアプリをダウンロードして、簡単にスタート」「週50時間で月額40~43万円が可能」
これは、Amazon Flexが宅配ドライバーの募集ホームページで、最初に掲げた内容です。
まずは、企業に縛られず、自分のペースで働く時間を選択することができます。
次に、アプリをダウンロードして、アプリの地図で配達先を確認しながら移動するので、比較的、個人でも楽に配達できそうです。
そして、週50時間働けば、月収40〜43万円可能ということですから、時給2000円前後ということになります。
では、その内容について、詳しく分析していきたいと思います。
Amazon Flexは本業・副業どちらでも選択できる仕事
1日10時間、月220時間労働で月収44万円の試算
Amazon Flexは2時間単位で働く時間を区切っています。
その2時間単位を1ブロックと呼び、関東の場合、1ブロック(2時間程度)で4000円(税込)となっています。
この1ブロックの作業を1日いくつ請け負うかは個人の自由に委ねられています。
例えば、1日5ブロック(約10時間)請け負って、月に22日働いた場合の月額報酬例が以下の通りです。
関東-2時間程度の1ブロック4,000円(税込) x 1日5ブロック x 22日 = 440,000円
愛知-2時間程度の1ブロック3,750円(税込) x 1日5ブロック x 22日 = 412,500円
ご覧のように、関東の方が愛知よりも少し報酬が高めに設定されています。
上記の報酬例は、1日10時間働いたケースですが、これは会社通勤に往復2時間を要している会社員が8時間労働したのと、消費する時間は同じです。
また、報酬は毎週振込まれるので現金の振込が早い点も特徴です。
自分で働き方を自由に選択できる
報酬のイメージは分かりましたが、具体的に仕事の段取りはどうなっているのでしょうか?
基本的な手順は次の通りです。
- 配達ブロックを選択→アプリから自分のスケジュールに合った時間を選択
- 荷物をピックアップ→配達ステーションで担当分の荷物をピックアップ
- お客さんに商品を配達→アプリでルートを確認しながら配達
自分に合った時間を選択して、配達ステーションで商品を受け取り、アプリのルートに従って宅配するという手順になります。
また、Amazon Flexはフレックスという名の通り、働き方を選ぶこともできます。
大きくは次の2通りがあります。
- Amazon Flex PRO→「Amazon Flex」をフル活用して働く(週48時間から)
- Amazon Flex→自分の都合に合わせて週数時間働く
「Amazon Flex PRO」は本業的な働き方。一方、Amazon Flexは副業的な働き方になります。
本日現在、6月末までに東京都大田区と愛知県名古屋市の配達募集が始まっていて、アプリを登録したあと、10オファーの配達を完了した人には、アマゾンギフト券が大田区は2万円、名古屋市は2万2000円プレゼントするキャンペーンも実施されています。
こうしたキャンペーン的な募集は、毎月のように続くと思われますので、関心のある人はちょくちょくチェックしてみてください。
結構、自分の性格に合っている働き方だと感じる人も多いと思います。