先日、パーソル総合研究所が「正社員の副業に関する調査結果」を発表し、副業の平均月収は約7万円ということが分かりました。
将来、年金制度が劣化するのは目に見えています。
企業で働く正社員がどんな気持ちで副業に取り組み、どのくらい稼いでいるのか。
今回は、調査結果からサラリーマンの副業の実態を分析していきたいと思います。
副業するサラリーマンには経営者的感覚が身に付く
サラリーマンの10人に1人が副業!平均月収は7万円!
パーソル総合研究所の調査は、20~50代の正社員を対象とし、有効回答数は1万3958人でした。現在、副業に取り組んでいる人は10.9%で、10人に1人が副業を行なっていることになります。
まだ副業を認めない企業が多い中で、10人に1人の副業は多い数字かもしれません。政府は2018年から会社員の副業を推奨しているので、今後、副業比率は年々増えるものとみられます。
その副業月収ですが、最も多かったのは「5万~9万円台」(24%)でした。若手サラリーマンだと、マンションの家賃をカバーできそうな金額です。
次に多かったのは「1〜2万円未満」(20%)、「3〜5万円未満」(20%)。一方で、「10〜15万円未満」が10%、「30万円以上」が4%もいました。副業で高収入を得ながら正社員の身分も捨てない理想的なサラリーマン像ともいえます。
調査の結果、副業の平均月収は6万8200円。正直なところ、とても優秀だと感じました。
お金が貯まる方程式は極めてシンプルです。
- 収入−支出=余剰金(貯蓄)
お金を増やす方法は二つしかありません。収入を増やすか、節約するか。
ただ、節約には限界がありますが、収入は青天井です。
副業に取り組む正社員は「金融資産の構築は節約以上に副業収入がカギを握る」と気づいた人たちなのかもしれません。
副業で本業のモチベーションも高まる
副業に取り組んでいるサラリーマンは、どんな職種の人が多いのでしょうか?
- 経営・経営企画(21.2%)
- 人事・教育(18.1%)
- 法務(15.1%)
- ドライバー(15%)
- 総務(14%)
現業部門よりは管理部門が上位を占めました。定時で出退勤できる部門は副業に取り組みやすい勤務環境にあるのかもしれません。
次に、副業によって意識がどう変化したのか?
最も多かったのは「既存のやり方にこだわらず、よいと思ったやり方で、仕事をするようになった」(43.5%)という回答でした。次に「自分の仕事のやり方や経験を定期的に振り返るようになった」(40.5%)が上位に入りました。
私もそうでしたが、副業に取り組むと、仕事のやり方が効率的なのか、経営者的センスや目線で仕事を考えるようになるものです。
副業で「自己実現」を目指すサラリーマンたち
「収入の補填目的」の次に多い「自己実現」
収入が安定している正社員でありながら、なぜ、副業を始めたのでしょうか?
最も多いのが「収入の補填目的」。会社の給料だけでは生活が苦しい、あるいは将来が心配だという経済的理由で副業を始めるというのは自然なことです。
次に多かったのは「自己実現」のための副業でした。
会社の仕事に生きがいは感じないけれど、家族や住宅ローン返済のために会社を辞めるわけにもいかない会社員は多いものです。しかし、自分の好きなことを副業にしたら、心の穴を埋めることができます。
また、20〜30代を中心に、スキルアップや本業に対する不満解消、現在の仕事を継続できるのか不安解消が目的という回答も多かったということです。
総じて、副業に取り組む会社員は現状に満足していないということがいえます。
その不満の原因が会社の将来や給料の金額、仕事の充実感など、経済的・精神的な側面が大半です。しかし、副業が家計や心の支えになるのなら、極めて有意義なものだと思います。
副業にかける時間は?過重労働には注意が必要!
では、副業にどれだけの時間を費やしているのでしょうか?
労働時間は平均週10.32時間。1日換算では1.47時間でした。土日・祝日に集中的に副業する人が多いと思われます。
基本的に、自分の好きなことを副業にすれば、その間は楽しくて時間を忘れるものです。
本業に不満を抱えていたり、将来不安を抱えている会社員にとっては、副業が収入面だけでなく、心の支え、精神的な安定剤になります。
ですから、副業で収益が発生してくると、自信がついて副業がより一層楽しく、ついつい副業に費やす時間も長時間になりがちです。
ただ、今回の調査では「過重労働となり、本業に支障をきたした」という回答も13%あったということです。
そういう人は、副業の内容が自分の生活環境に合致しているのか、さらに副業の時間配分は適当なのか、一度、根本的に見直す必要があります。(調査結果:パーソル総合研究所)
正社員はどんな副業をやっているのか?
今回の調査結果には、正社員がどんな副業に取り組んでいるのか、その点の詳しい記述はありませんでした。
しかし、日本経済新聞は、飲食店や株などの投資のほか、「ライターが意外と人気」だというパーソル総合研究所の説明を報じています。
では、会社員はどんな副業が適しているのでしょうか?
おおむね候補に上がるのは次のような副業です。
- 飲食店などのアルバイト
- アパートなど不動産事業
- 株式やFXなどの投資
- ブログやユーチューブなどネット収益
- プログラミング
それぞれ、一長一短があって難易度も異なりそうです。
次回は、会社員の副業には、何が向いているのか、金銭面や将来性など利点と欠点を徹底的に考察したいと思います。