最近、人気ユーチューバーが配信した金融・投資関係の動画が相次いで炎上しました。
今回は、とくに話題になった動画を紹介し、炎上の原因に迫ります。
人気ユーチューバーの言葉は本当に信じられるのか?
You Tubeの視聴者が増えるにつれて、エンターテイメント系のユーチューバーを起用した金融投資商品に関する動画が増えてきそうです。
その真贋を見極めるには、どうしたらいいのか?
私が注目している二人のユーチューバーを紹介しながら、詐欺的な商品に騙されないコツを考えたいと思います。
人気ユーチューバーの炎上動画とは?
「成上りたきゃ見ろ!利回り80%超え⁉️世界一儲かる投資の現場に潜入」
チャンネル登録者数200万人を超えるラファエルさんが11月29日に配信し、大炎上したのが「成上りたきゃ見ろ!利回り80%超え!?世界一儲かる投資の現場に潜入」と題した動画です。
要約すると、この投資案件は水耕栽培のプロジェクトです。
水耕栽培で育てた葉物野菜が10.2%、高麗人参など機能性野菜が42%の利回りになり、今年10月に農水省が発表した補助金も対象になるため、補助金を加えると利回りは84%になると説明されています。
水耕栽培(すいこうさいばい)とは、養液栽培のうち固形培地を必要としないもののことをいう。水耕(法)、水栽培などとも呼ばれる。農業では多くの栽培に利用され、従来は不可能といわれていた根菜類の栽培も可能となっている。(引用元:Wikipedia)
動画には顔にモザイクがかかった”技術者”が登場し、「特殊技術で本来100日かかる所を25日で完成するので利回りが早くなる」「水耕栽培は通常、蛍光灯を6本から8本必要だが、3本でも育てる技術が施されている」などと、高利回りの理由を説明しています。
しかし、配信後、ラファエルさんの動画には「利回り80%が本当なら銀行がお金を貸しているはず」「騙すなら現実的な数字にしろよ」「この会社は法人登記していないし、業界にも加盟していない」などと信憑性を怪しむコメントが殺到しました。
顔モザイク”技術者”は「月に20トンのオーダーを頂いている」
”技術者”が説明した4倍のスピードで成長させるためのノウハウは、「なるほど」と思わせる部分もあります。
ただ、最初に疑問を感じたのは、投資を募る事業を説明するのに、”技術者”は顔にモザイクをかけて登場したことです。
モザイクによって怪しさを増幅し、逆に信頼性を低下させています。何か顔出しできない事情があるのかと思ってしまいます。
第2に、”広報担当”として登場した女性が全く説明できていません。ラファエルさんと一緒に、初見のように説明を聞いています。本当に広報担当者なのでしょうか?
第3に、収穫した野菜の売り込み先です。4倍の速さで成長させても、買ってくれる人がいなければ、事業として成り立ちません。
この点について、”技術者”は「(高麗人参の場合)国内3社、国外3社。国内は大手製薬メーカー、海外はサプリメントメーカー。月に20トンのオーダーを頂いている」と説明しています。
果たして大手製薬メーカーが登記もされてない法人に対し、これほど大量に発注するだろうかという疑問も湧いてきます。
怪しい投資を分析し注意喚起するユーチューバーたち
仮想通貨系ユーチューバーが特許番号と本当の会社を特定した
ラファエルさんの動画には、投資に詳しいユーチューバーたちが次々と、疑問点を整理した動画を配信しました。
まずは、仮想通貨系チャンネルの「はじはじビットコイン【仮想通貨】」。ユニークな姿の「暗吾郎(あんごろう)」が怪しげな仮想通貨を次々暴き、仮想通貨に投資する際の注意点などを解説しているチャンネルです。
水耕栽培を取り上げた動画のタイトルは「ラファエルの水耕栽培で年利84%案件。特許番号と本当の会社を特定」。
暗吾郎さんは、冒頭、「この投資案件はのちに出資者にトークンを発行することになるらしいので、仮想通貨関連として検証した」と述べ、いくつかの疑問点を明かしています。
暗吾郎さんは、水耕栽培の特許番号や特許申請した会社、さらには出資者を集める会社まで調べあげ、怪しげな点を明らかにしました。
今回の水耕栽培に限らず、暗吾郎さんは詐欺的な仮想通貨を見つけ出しては会社の人物や内容、動向まで詳細に調べ上げ、具体的な数字を示しながら注意を喚起している注目のユーチューバーです。
彼の動画を見ていると、いかに怪しげな仮想通貨が跋扈しているのか、よく分かります。どれも見事な分析で見応えのあるコンテンツが多いチャンネルです。
詐欺投資の見分け方を配信した不動産投資家ユーチューバー
もうひとつは、30代の不動産投資家・茂風智文(もふ・ともふみ)さんが運営するチャンネル「もふもふ不動産」です。
「利回り80%」という驚愕の高利回りだけに、今回の水耕栽培に関する投資案件は気になったようです。
「Youtuberラファエルさんの利回り80%の投資案件は本当?不動産投資家が解説」と題して動画を配信し、注意喚起を促しました。
もふさんは、不動産の個人投資家として直面した経験を元に、あらゆる不動産投資のリスクを紹介しています。
悪質な不動産業者や銀行が素人に割高な物件をつかませる手口やワンルームマンション投資の危険性、「かぼちゃの馬車」事件の本質やお得な物件の買い方などを紹介しています。
不動産投資を考えている人は、事前に視聴しておいた方がいいかもしれません。
人気ユーチューバーが詐欺的案件に利用される危険性
ユーチューブが家庭の娯楽としても広まるにつれて、あらゆる企業や業者がユーチューバーを広告塔として注目するようになりました。
人気ユーチューバーは芸人顔負けのお笑いや企画ものでチャンネル登録者を増やしてきました。しかし、これからは複雑で怪しげな金融商品やサービスの宣伝が舞い込み、彼らも経験したことのない有象無象の世界に足を踏み入れる可能性があります。
視聴者は、ユーチューバーの説明を鵜呑みにせず、自分で確かめ、自分で判断する賢さが大切になってきます。過去の詐欺事件を見ても、騙されている人は他人の話を鵜呑みにしたケースがほとんどです。
詐欺話には、必ず不明な点が存在するものです。その不明点を自分で解明しない限り、絶対に手を出さない慎重さがあれば、被害を被ることはないはずです。