経済的な基盤なしに早期リタイアは実現しない
経済的な準備なしに衝動的に退職した同僚の話
かつて、会社の処遇に腹を立て、50歳直前に早期退職した同僚がいました。
私には、自分の人事を決めた幹部に対し苛立ちを隠さず、「あんな奴が出世する会社ではやっていけない」と言い残して会社を去って行きました。
カッとなって退職願を叩きつけたわけです。
彼は独身だったので早期退職に踏み切りやすかったのかもしれません。退職後は、東京にとどまって、かつてのツテを頼って、いくつか仕事をこなし生活していました。
しかし、最初は不憫に思って面倒を見ていた人たちも特別優れたスキルもない50男に長くは付き合ってくれません。
彼は徐々に収入が減り、貯蓄も底をつき、故郷の山陰地方に帰ったあと、音信不通になりました。
副業やスキルなしに貯蓄だけで生き延びるのは無理スジ
自分の処遇に腹を立てて退職するくらいですから、彼は夜遅くまで残業して頑張って、会社に滅私奉公するタイプのサラリーマンでした。
自分の時間を会社に捧げたので、他に副業やスキルも構築していません。
50近くまで独身ゆえ貯蓄はあったので、我慢できなって会社に辞表を叩きつけたのでしょう。貯蓄が貯まった独身中年男が取りがちな行動なのかもしれません。
しかし、退職後、最初の2〜3年で現実を思い知ることになります。
大手企業の退職者は再就職先の企業選びではとても不利なようです。プライドが高いわりに、特別なスキルはないからです。
かといって副業で稼ぐ努力もして来なかった元会社員が残りの人生を貯蓄だけで生き延びることも厳しい選択です。65歳になったら厚生年金があるといっても、50歳前後で退職した会社員では驚くほど支給額が少ないものです。
自分の力で稼ぐ準備もせずに早期退職した人は、将来の経済的不安に怯えながら生活することになります。
ですから、賢明なサラリーマンは、現役時代に副業にも取り組んで不労所得やスキルを手にしようと考えます。
ところが、不思議なもので、勉強しすぎる人は自分で稼げないものなのです。
それは、なぜでしょうか?
賢明な人よりも愚直な人が早期リタイアに成功する理由
賢明な人ほど先読みしすぎて土俵に上がらない
「将来は、会社に縛られず、自由な人生を楽しみたい」。
賢明な人ほど、そう考えるものです。
社会の仕組みが分かってくると、徐々に会社の稼ぎ方や業務のあり方に疑問を抱くようになり、会社に通勤することさえストレスを感じるようになるからです。
ストレスから解放されるためには経済的に自立して早期退職するしかない。
ここまでは、だれでも考えることです。
賢明な人は、さまざまな副業を調べ始めます。調べるだけでなく勉強も始めます。勉強するうちに、何か、未来が開けるような希望も感じ始めます。
不動産事業や株式投資、ブログやユーチューブ、プログラミングやライティングなど、ありとあらゆる副業を調べ、精通します。
ところが、一方で、それぞれの副業の欠点やリスク、難点も学習します。そして、実践もそこそこに、「まあ、今の会社でもいいか」と行動は途絶えます。
賢い人ほど、ハードルの高さやリスクを先読みして土俵に上がらないものなのです。
副業は「失敗も資産」という姿勢が重要
世の中の成功者は深く先読みせず、まずは実践した人ばかりです。
ところが、「無謀」にも思える目標に、小さな努力の継続で到達してしまうのです。
YouTuberのヒカキンは、ユーチューブを始めた当初、自分が年収5億円以上稼げると思っていたでしょうか?
大リーグ殿堂入りが確実視されているイチローは、野球を始めた小学生の頃、自分が大リーガーとして大成すると思っていたでしょうか?
おそらく2人とも、現在の姿を先読みしていなかったはずです。
先々を予見するよりも、面白いと思ったことを自分の仕事に選び、小さな努力を重ねた結果が現在の姿です。
彼らに比べたら、サラリーマンが副業で稼ぐことは比較的容易な事です。
にもかかわらず、副業を難しくしているのは、色々なことを考え過ぎて土俵に上がらない、あるいは小さな努力をしたくないからです。
副業は多種多様ですが、どれであっても一度経験することが大切です。そして、仮に、失敗しても「経験という資産が残る」という気持ちが重要です。
失敗やリスク、努力や困難という過程こそが、副業の面白さなのです。