「2019 ユーキャン新語・流行語大賞」は世相を反映できたのか
あえて新語・流行語大賞に物申す!
私は20〜30代のころ、毎年のように用語辞典の「現代用語の基礎知識」を購入していました。
その「現代用語の基礎知識」を発行する自由国民社が1984年に始めたのが「新語・流行語大賞」。いまや年末恒例の行事となりました。
新語・流行語大賞(しんご・りゅうこうごたいしょう)は、自由国民社がその年1年間に発生した「ことば」のなかから、世相を軽妙に映し、多くの人々の話題に上った新語・流行語を選び、その「ことば」に関わった人物、団体を顕彰するとされている賞。2004年(平成16年)より、ユーキャン新語・流行語大賞(ユーキャンしんご・りゅうこうごたいしょう)に改称している。(出典:Wikipedia)
今年の「新語・流行語大賞」が12月2日に発表され、年間大賞は初めてラグビーW杯日本大会で8強入りした日本代表のチームのスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」に決まりました。
日本列島を沸かせた日本代表チームの受賞は順当だと思いますが、「ONE TEAM(ワンチーム)」という言葉に、どれだけの人がピンとくるのでしょうか?
むしろ、「ラグビー日本代表」を流行語大賞にした方が世相を反映した言葉としてふさわしかったと思います。
本当に今年の世相を反映しているのか?
そのほか、新語・流行語大賞トップ10には、以下のような言葉が選出されました。(参考・「2019 ユーキャン新語・流行語大賞の受賞理由)
- 「計画運休」
- 「軽減税率」
- 「スマイリングシンデレラ/しぶこ」
- 「タピる」
- 「#KuToo」
- 「◯◯ペイ」
- 「免許返納」
- 「闇営業」
- 「令和」
「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「◯◯ペイ」「闇営業」「令和」は確かに令和元年の世相を感じる言葉かもしれません。
ただ、そのほかの授賞語には疑問を感じる言葉もあります。
授賞した新語・流行語大賞に「なるほど」と思った人、あるいは「その言葉はどんな意味?」と疑問を抱いた人など、感じ方は人ぞれぞれでしょう。
ただ、せっかく選ばれた流行語ですから、10年後、20年後も「令和元年はそんな年だったなあ」と思い出せる言葉であって欲しいと思います。
今回の授賞語をみると、なにか、大切な言葉を忘れているような気がしています。
「2019 サラリーマン新語・流行語大賞」を発表
企業のリストラが吹き荒れた1年だった!
というわけで、日夜、家族や将来のために頑張っている会社員のために、「2019年サラリーマン新語・流行語大賞」ベスト5を選出してみました。
さっそく発表しましょう。
まずは「リストラ・早期退職」です。
2019年は何と言っても中年クビ切り時代の幕開けの年でした。
今年は1月-9月の時点で希望退職や早期退職を募集した上場企業は27社(1万342人)にのぼり、6年ぶりに1万人を超えました。(参考:東京商工リサーチ)
その後も、11月にはコンビニ大手のファミリーマートが全社員の1割にあたる800人の早期退職を募集。12月はオンワードホールディングスが取締役会で約350人の希望退職者を募集することを決定し、早期退職を促す動きが続いています。
長年、給料でしか収入を得たことがないサラリーマンにとっては不安な時代が到来しました。
リストラの中身を見ると、給料が高止まりしている45歳以上の中高年が中心で、その一方で優秀な若手を優遇するというものです。
というわけで、流行語大賞ベスト5には、「45歳以上」と「若手優遇」も選出しました。
定年まで頑張っても2000万円も不足する国ニッポン
サラリーマンは厚生年金を納めているため、老後は比較的安泰とされてきました。
しかし、金融庁はその厚生年金だけでは生活費が2000万円不足するという報告書を発表し、政治も巻き込む大騒ぎとなりました。
今年の流行語大賞ベスト5には、その「年金2000万円不足」も入りました。
厚生年金だけでは老後2000万円不足することを知って、積極的に行動したのは20〜30代の若手・中堅層のサラリーマンでした。
売却益や配当が非課税となる「一般NISA」や「つみたてNISA」の口座申し込みが殺到し、老後の備えに動き出したからです。
とくに人気なのは年間120万円まで運用可能な「一般NISA」でした。「つみたてNISA」は年間40万円しか運用できないため、当然の結果です。
ところが、その「一般NISA」について、政府・与党は「富裕層優遇だ」として恒久化を見送る方針を固めました。(参考:SankeiBiz)
たった年間120万円の資産運用を非課税にすることが果たして「富裕層優遇だ」なのか?
この理屈には呆れますが、税収難に直面する財務当局の影を感じます。
サラリーマンにとって最重要は副業になってゆく
一般NISAの恒久化見送りをみていると、いかに政府の方針が恣意的で当てにできないものか、よく分かります。
やはり、将来に向けては自分自身のスキルを高めて自力で稼ぐことが必要不可欠なのかもしれません。
そんな中で、2019年は「副業」が話題になった1年でもありました。
リストラが横行する現在、将来45歳以上になったら早期退職を覚悟する必要があります。
一方で、副業元年の2018年以降、副業を解禁する企業が増えています。これは、間違いなくサラリーマンにとっては追い風です。
副業を認めている企業は、Yahoo!、LINE、ソフトバンクといったIT企業だけでなく、丸紅や新生銀行、サントリーHD、アサヒHD、日産自動車、花王、パナソニックなど伝統的な大手企業にも広がっています。
というわけで、「2019年サラリーマン新語・流行語大賞」ベスト5は、以下のように決定しました。
- リストラ・早期退職
- 45歳以上
- 若手優遇
- 年金2000万円不足
- 副業
1から4までは、将来不安を掻き立てる言葉が多い印象ですが、最後の「副業」は人生を切り開き、生き残る上で、今後のトレンドになりそうな言葉でもあります。
私も早期退職して、現在は自由な生活を実現できているのも、副業でブログに取り組んだおかげでした。
ただ、企業が副業を解禁する際、サラリーマンは注意しなければいけないことがあります。
次回は、副業解禁の落とし穴について、私の経験も交えて解説したいと思います。