早期リタイアの準備が最終的に人生を幸福にする
定年前後のサラリーマンに幸福感が薄い理由
最近、私の周囲に役員や役職を退いてリタイア生活に不安を抱く知人が増えてきました。
ある大手企業の役員だったAさん(65歳)は昨年、役員を退任し、現在は顧問。近く会社を去らなければいけません。
役員まで上り詰めたのですからサラリーマンとしては成功者と言っていい立場なのですが、そうでもないらしいのです。
「会社をやめた後、働く場所がないんだよ」「どんな生活をしたらいいのか、まるで想像がつかない」などと、リタイア後の不安ばかりを話します。
一方、55歳で役職定年となったBさん(60歳)。かつて大学生の人気就職先にもなった大手損保に勤めていましたが、役職定年後は信じられないのですが、給料がほぼ半減し、しかも地方勤務に甘んじているといいます。
いま、会社を辞めても雇ってくれるところがあるのか、転職先の会社が自分の肌に会うのか、いろいろ考えると結局は無難な定年延長を選択したということです。
私とほぼ同じ世代の人たちは学生時代に転職を前提に就職先を選んでいないので、とくに会社に対する帰属意識やぶら下がり傾向が強いように見えます。
「役職を離れたら後輩たちは相談にもこなくなった」「何か自分が悪口や陰口を言われているような気がする」「シニアになって給料がこんな減るなら、もっと早くから早期退職の準備をしておくべきだった」
知人たちから不平不満や後悔の念を聞いていると、「そんな後ろ向きな気分で毎日働いているのは体に毒ではないのか」と心配になるほどです。
人生というのは、山を登っている時は幸福でも下山するのは難しく精神的にも辛いものです。
しかも、そのことに気づくのは定年直近のシニアになってからなので、手遅れなことも多いものです。
70歳雇用時代は大量の早期退職者が生まれる
危機的な年金財政の対策として、政府は企業にサラリーマンを70歳まで雇用することを推奨しています。
60歳定年制が法制化されたのは1998年でした。それから15年後の2013年に、65歳までの雇用が義務化され、いまは70歳まで雇用する努力をしろというわけです。
私は当ブログで企業に高齢者を押し付けようとすればするほど早期リストラが必ず増えると申し上げましたが、2019年はまさに45歳以上はリストラの嵐でした。
しかも、体力のある黒字企業ほど、いまのうちに中高年を切っておこうと考えますから、2020年以降はさらに増える可能性があります。
当然です。
体力も知力も判断力も衰え、難しい仕事を逃れたがる口達者なシニアを企業が雇い続けたいと思うわけがありません。
いまは、まだ30〜40代であっても50代になれば、その多くが企業にとっては邪魔な存在になります。
そのとき悠々と仕事し生活している人は、30〜40代の頃に副業に取り組んで、いつリストラされても自力で生きていける自信がある人たちです。
つまり、現在の幸福感は過去の努力の結果なのです。
リストラを意識するダメサラリーマンほど人生を逆転できる
人生はマラソンゲーム!途中の踏ん張り次第で逆転する
事実上、終身雇用が崩壊した現在、サラリーマンは以前よりも5年から10年ほど前倒して人生計画を練る必要があると思います。
60歳定年ではなく、55歳で早期退職するという前提で資産計画や副業計画を考えるということです。
副業が好調で資産も1億円以上になっても、無理に早期退職する必要はありません。
ただ、いつ会社を辞めても生きていけるという自信があるだけで、人生は格段に楽しくなるものです。
ですから、「自分はいつリストラされるだろうか?」という危機感を抱いて副業に取り組んだダメリーマンが、「自分は出世コースに乗っている」と危機感なく会社一筋で生きてきたエリートよりも最終的には悠々自適な後半人生を送るケースも少なくありません。
なぜなら、サラリーマン人生は一寸先は闇。どうなるか分かりません。
エリートサラリーマンといっても、出世したが故に不祥事で引責辞任したり、自信家ゆえに上司と対立して左遷されることも少なくありません。
人生はマラソンゲームです。
最後の42.195㎞を走り切るまでは紆余曲折があるものです。
しかし、コツコツ副業に取り組んで自力で稼げるようになった人が、いつの間にはゴール前でトップ集団(幸福感に包まれている人たち)を走っていることになります。
成長しようとしない中高年が貧乏になる時代
かつては就職したら終身雇用が当たり前でしたから、中高年になっても会社の仕事以外に何も勉強しなくても大丈夫な時代でした。
しかも、60歳から年金が支給されるわけですから、退職金と少しばかりの貯蓄あれば、慎ましく生きていくことは可能でした。
ところが、年金は65歳支給に改悪され、5年分がカットされました。かりに、夫婦で年間230万円の年金だったとして、総額1000万円以上、年金が減らされたわけです。
昨年、金融庁が厚生年金がもらえるサラリーマンでも老後2000万円不足すると警鐘を鳴らしましたが、そのうち1000万円は政府によって生まれた不足額ということもできます。
ただ、政府を恨んでみても何も生まれません。自力で不足分を貯蓄するしかないのです。
一方で、企業が60歳まで雇用することを嫌がる時代になりました。
きちんと45歳で早期退職を募って割増金を支給する企業はまだ良心的な企業です。
精神的に追い込んで自主退職に追い込み、わずかな退職金しか支払わない企業も少なくないと思います。
私の経験上、自力で稼ぐために最も成長できるのは40代から50代だと感じています。
30代までは会社の仕事に慣れたり、職務を極めることにエネルギーが割かれるからです。
40代になると、いろいろな知識や経験が自分に蓄積されているため、副業に取り組むにしても新たな知識の吸収が早いものです。
定年まで働くにしろ、早期退職するにしろ、常に早期退職を意識して準備するサラリーマンになることが何よりも重要だと実感しています。