労働時間より大切なことは楽しいか否か
会社員の労働時間が短縮しても幸福になれない理由
みなさんは何のために政府や企業が働き方改革を推進していると思いますか?
政府が推進するのは、次のような理由だと考えています。
- 男性社員も時短で生まれた時間を利用して子育てに加わって欲しい
- 過労死など長時間労働が原因となる事故を防止したい
- 余暇が増えたらレジャーや外食などに出かけて消費の刺激が期待できる
一方、企業はどうか?
- 年々減少する若い労働者に魅力的な会社であることをアピールできる
- 長時間労働で労基署から指導を受けたり、社会的なバッシングを受けたくない
- 若い社員が労働環境に不満を抱いて早期退職する事態を回避したい
ほかにも働き方改革を進める理由はあるでしょうが、主な動機はこんなところだと思います。
確かに、長時間労働が解消され、自由な時間が増えるのは喜ばしいことです。また、長時間労働による過労死は多少減少するかもしれません。
しかし、働き方改革によって、サラリーマンが幸せになるのでしょうか?
あえて断言します。
働き方改革ではサラリーマンは幸せにはなれません。
長時間労働でも幸福なサラリーマンとは?
時短を喜ぶサラリーマンは自分の会社や部署の仕事をつまらない、あるいは退屈だと思っている人たちなのです。
「会社の体質が嫌い」「人間関係が煩わしい」「会社の業務に意義を見出せない」「社会に役立っている実感がない」・・・
こんな感情を抱く会社員は、会社の滞在時間が短縮される働き方改革を大歓迎するのは当然です。
しかし、労働時間が短くなっても、心のわだかまりは解消できません。
働き方改革は、本質的にサラリーマンを幸福する施策ではなく、消費や育児に誘導する施策なのです。
一方で、残業でも楽しそうに働いているサラリーマンが存在します。
彼らは労働時間に、さほど関心がありません。残業が多すぎると、人事・労務から注意されることが気になるくらいです。
では、なぜ、長時間労働でも幸福なサラリーマンが存在するのでしょうか?
それは好きな事に取り組んでいるからです。
好きな事は何時間打ち込んでいても疲れないものです。熱中している時間が過ぎ去るのが早いからです。
むしろ、「仕事中、脳内にはハピネスホルモンが分泌されているのではないか」と思うほどです。
かつて、私もそんな時期がありました。
「稼げるかどうか」という物差しは古いビジネス感覚
仕事や副業は「稼げるか否か」で選んでいいのか?
サラリーマンが幸せになるにはどうしたらいいのでしょうか?
政府や企業が個々のサラリーマンを幸せにしてくれると期待するのは的外れな期待です。
自分を幸せにするのは自分でしかできないからです。
しかし、多くの人たちは、幸福感を政府や企業といった他者に与えてもらおうとします。それは妄想だと思った方が賢明です。
会社が嫌になったサラリーマンが副業に打ち込んで自由な人生を実現したいと考えるのは、決して愚かなことではありません。
しかし、間違った考え方で副標に取り組むと、いくら頑張っても決して幸福感を手にすることはできないものです。
早期退職を考える際、多くのサラリーマンは「稼げるのは何か?」という物差しで副業を探します。
自由になるためには手段としてのお金が必要です。
ですから、稼げる副業を探したくなるのも理解できなくはありません。
しかし、「稼げる」を物差しにすると、大きな副作用があるのです。
仕事や副業を「好きなことか否か」で選ぶ幸福感
労働時間が短縮されようが、生活のためにサラリーマンを続ける日々は退屈で苦痛なものです。
その苦痛な日々から逃れるために、稼げるかどうかの物差しで副業を選択することは、「苦痛の二乗」となります。
つまり、会社員という「労働」に、もうひとつ別の「労働」を加えるだけに終わる恐れがあるということです。
仕事も副業も「労働」と感じるものを選んでしまっては、決して長続きしません。
「稼げる」と思って選んだ副業が長続きせず、逆に「稼げないかもしれないけど好きな事だから」という物差しで選んだ副業が長年継続できて、最終トータルでは稼げたというのはよくある話です。
金融資産の計算式は実にシンプルです。
- 年収×継続年数=金融資産
金融資産を考える際に見逃しがちなのが「継続年数」。若い頃、事業に成功した人が晩年、貧困に喘いでいることがあります。それは稼げた時期が短かったためです。
金融資産を蓄積するうえで年収以上に継続年数が鍵となるのです。
では、継続年数を伸ばすには、どうしたらいいのか?
「稼げる」よりも「好きなこと」を物差しにすることが重要です。
私が副業にブログを選択した理由
私が早期退職を目指す中で体得したことは、「好きな事」という物差しで選んだ仕事や副業は、長時間働いていても必ず幸福感を得られるということでした。
しかし、自分は何が好きな事なのか、ただちには分からないものです。
私も副業に着手するとき、当初は何をやるべきか悩みました。
そんな中で、サイトやブログは、投資や趣味、評論、商品紹介、ニュース、芸能・芸術、スポーツと、あらゆる分野を選択することができます。
ですから、ブログを始める環境さえ整えることができれば、自分の好きな分野が必ず見つかると考えました。
幸いなことにブログは10年以上前に始めて以来、今でも続けることができています。
それは、好きな分野を自由に選ぶことができたからです。
もちろん、ブログは稼げると思って始めた訳でもありません。しかし、自分の好きな分野は毎日、何時間作業を続けても、精神的に疲労を感じることはありませんでした。
むしろ、作業は趣味のような感覚で、そのワクワク感がブログを何年間も続けるモチベーションになりました。
ブログを始めて4年目。ブログ収入は想像もしていなかった年収1800万円を超え、自分や妻の給料と合わせると、一流企業の社長と変わらない所得になっていました。
早期退職を目指して副業を探した時、「好きなこと」ではなく、「稼げそうなこと」を物差しに選んでいたら、おそらく、いまも早期退職は実現できていなかったと思います。