ミニマリストが貧困に陥る危険性がある根源的理由
ミニマリストは変化に弱いライフスタイル
最近はユーチューブでも自分の断捨離ぶりをアピールする動画をよく見かけるようになりました。
不要な物は捨てて必要最小限の物だけで生活するミニマリスト。定期的に余計な物を選んで捨てては、何もなくなった部屋で「スッキリした」と悦に入る人たちです。
そんなシンプルな生活に憧れる若い人も少なくないようですが、人生というのは、独身→結婚→子供が生まれる→子供が成長する→老夫婦だけになると、常に変化します。
その過程で、不要な物が必要になったり、必要だったものが不要になったりします。
例えば、子供の友達が突然、自宅に泊まりに来たり、大災害に遭遇して防災用具を引っ張り出して危機を乗り越えたり、まさに生活は無駄なものとの共存の仕方が大切になります。
しかし、ミニマリストは、そうしたものは無駄なものと捨て去ってしまいます。自分が困らない最小限の生活を基本に考えているので、変化に弱く、災害時には他人の支援が必要なライフスタイルともいえます。
ミニマリスト精神によって投資や事業に消極的になる恐れ
ミニマリストのなかには、電気水道代も基本料金に近いような最小限度にとどめ、「月5万円生活」といった支出の少なさに満足する人も少なくありません。
生活支出が減ってゆくと、「自分は年収150万円でも生きていける」と考えるようになります。収入増より支出減に価値を見出す、いわば「縮み思考」といっていいかもしれません。
しかし、支出増を嫌悪する精神が染み付くと、自分自身の経済的な成長をとどめてしまう恐れがあります。
稼ぐためには余計な支出やリスクも必要です。しかし、儲かるかどうかわからない株式や不動産に投資することに消極的になります。
お金を稼ぐ方法は、価値やお金を提供して対価を得るのが基本です。
リスクマネーを節約するクセがつくとリターンはなくなります。そこが節約精神の罠なのです。
金融資産を増やす方程式は、金融資産=収入−支出という極めてシンプルな計算式です。
節約して1ヵ月5万円の生活をしながら月収15万円の人と、1ヵ月80万円の生活をしながら月収200万円の人では、どちらが先々、豊かに暮らせるようになるでしょうか。
前者は貧困転落の一歩手前で生きているのに対し、後者は贅沢な生活をしながらも、将来に備えた余剰金をつくれます。
将来、豊かな生活を実現するためには節約よりも収入が重要なのです。
では、どんなライフスタイルが理想的なのでしょうか?
生活を最適化できる人が経済的にも成長できる
現状の生活を最適化するライフスタイルが理想的
理想的なライフスタイルは、それぞれの生活や経済状況によって、人それぞれです。
ただ、私は、いまは不要でも先々を予見してまずは保有する。一方で、どう見ても不要なものは捨てる。こうした生活の最適化が重要だと考えています。
人生は自由です。ですから、ミニマリストのような生活も自由です。
しかし、ある程度の無駄と共存する生活の方が経済的にも精神的に居心地が良く、将来性があると思っています。
たとえば、電気料金がもったいないと暖房器具を捨てて生活する人がいます。しかし、体を冷やすのは万病の元です。病気をしたら治療費がかさみ、収入が減るかもしれません。
それでは何のためのミニマリストか分からなくなります。
たとえば、新聞のチラシを見て次のようなスーパーがあったとします。
- 自宅から3分のAスーパーは秋刀魚一尾100円
- 自宅から30分のBスーパーは秋刀魚一尾95円
5円安い秋刀魚を求めて往復1時間を費やすのか、それとも往復6分のスーパーで5円高い秋刀魚を買うのか?
賢明な人は近くのスーパーで少し高い秋刀魚を購入するでしょう。なぜなら、「時はカネなり」だからです。
一方で、生命保険に毎月2〜3万円の保険料を疑問も持たずに払い続けている人がいます。
夫婦が30代で子供が幼少期であれば、大黒柱の夫が死亡したら残された家族は大変ですから理解できます。しかし、50代になっても、本当に数千万円の生命保険が必要でしょうか?
しかも、50代になると、保険料が3〜4万円に増額されているはずです。
1日10数円の食費代を削るよりも、生命保険や医療保険を見直した方が明らかに経済的です。これが生活の最適化です。
最適化を考える人は趣味や無駄の収益化を考える
生活の最適化には、もうひとつ大切な精神があります。
それは不要なものを収益化することを考えるということです。
例えば、金食い虫の趣味が代表的なものです。趣味の物品はミニマリストにすれば廃棄の対象ですが、最適化を考える人は、それを収益化につなげます。
例えば、趣味でオーディオ機材を集めたり、楽器を収集している人なら、その物品や知識を活用して趣味ブログを作ったり、YouTubeで収益化できないか考えます。
親から家を相続したものの、すでにマンションを購入している人は、家をリフォームして貸しスタジオやシェアハウスで運用する道を考えます。運用がどうしても無理なら最後に売却(廃棄)します。
本が山ほど溜まっていたら、捨てる前に、近くの居抜き物件を借りて、読み放題喫茶を考えるかもしれません。ジャズのレコード収集が趣味なら、ジャズバーの経営を考えるのもいいかもしれません。(かつて私の妻がサイドビジネスで検討したことがありました)
最近はシステム化されたスタバのような喫茶が増えて、ホッとできる地域の喫茶やバーがすっかり減ってしまいました。
喫茶やバーを開いたら、「大学生デー」や「フリーランスデー」、「元会社役員デー」「●●専門家デー」「カメラ好きデー」など、曜日ごとにテーマを決め交流の場にしたら話題になるかもしれません。
節約に神経を擦り減らすより、何が社会貢献や収益拡大につながるのか考える方が、はるかに積極的で前向きな人生になるはずです。

コメント
こんばんは。
よく言われることですが、生命保険や医療保険の見直しは絶対必要ですね。ライフスタイルの変化に合わせてこまめに見直さないと、とんでもない無駄遣いとなります。日本人が保険漬けになっているのは、一つには人の不安につけ込んだ保険会社の巧みな宣伝力がありますね。おそらく保険会社の従業員は一般的な日本人ほど保険は買っていないでしょう。困ったもんです。
私の周囲にも光熱費の節約には熱心なのに、何の疑問も持たずに高額な保険料を払い続けている人たちがいます。
人間は不安を抱くと非合理な行動をするものです。株式相場が暴落したときの投資家の行動も同様です。
不安ゆえに非合理な行動を修正せずに、目先の簡単な節約で自己満足することは、自分自身の戒めとしても一度記しておきたかったことでした。
読んでいただき、ありがとうございました。