消費増税を巡る異色のマンガ!国民は騙されているのか
消費税をめぐる常識は非常識?
かねてから、私が不思議に思っていたことがあります。
それは消費増税が必要だとする人たちの論拠と論理です。
なぜ、消費増税が必要なのか?その論拠は概ね次の通りです。
- 国の借金は1000兆円を超え国民一人あたり900万円もある
- 消費税は今後増え続ける社会保障に使う必要がある
- 借金が増えて財政が悪化すると将来ハイパーインフレになる恐れがある
だから、消費税率を上げて借金を減らして財政を健全化する必要があるというのが、財務省をはじめ消費増税を必要とする人たちの主張です。
しかし、よくよく考えるとおかしなことに気づくはずです。
国の借金である国債の保有者は海外が6%で、ほとんどが国内の日銀や保険年金基金、金融機関なのです。
しかも、国の資産である対外純資産は約1000兆円。日本は世界ナンバー1の資産保有国です。
政府の借金残高と同じだけの資産を保有しているのです。
世界経済が悪化して世界同時株安に陥ると、日本円が買われて円高になるのは、日本が投資家にとって安全な国だからです。
家族に対して「借金が多くで我が家は大変だ」と言っているのに、我が家は町内では最も安定した家計だと言われているわけです。
政府がPRする国民一人当たり900万円の借金は本当か?
新聞など大手マスコミは、日本の借金残高の大きさを分かりやすく表現するために、1000兆円という借金は国民一人当たり900万円の借金を背負っているのと同じだといいます。
では、それは本当なのでしょうか?
先ほど申し上げたように、政府の借金に相当する国債の残高は約1000兆円ですが、他人(海外)から借りているのはわずか6%にすぎません。
残る国債は国内、つまり国民から借りているわけです。
大手マスコミに見習って分かりやすく表現すると、10億円の金融資産があるお金持ち一家のお父さんが投資用マンションを一棟購入するために、家族一人一人から9億円を借りました。
ある日、お父さんは「相談がある」と言って、妻や長男、長女の三人を集めて家族会議を開きました。
席上、お父さんはこう言います。
「みんな、いいか、冷静に考えて欲しい。我が家はいま9億円の銀行ローン、つまり借金がある。君たち一人あたり3億円もの借金だぞ。今後、君たちには一人当たり毎月20万円の生活費を家に入れてもらう。そうしないと利払いもあるからと家計は持たなくなる」
「・・・・・・」
家族一同、一瞬、不思議な空気が流れました。そして、長女が口を開きました。
「お父さん、それおかしくない?私たちには借金はないわ。私たちは一人当たり3億円をお父さんに貸したのよ。私たちにとって、それは借金ではなく債権。つまり資産なのよ」
お父さんは反論します。
「何を言っているんだ。我が家は9億円の借金があることには変わりない。将来は私たちの介護費用も必要だし、お前たちも子供の教育費が必要になってくる」
財務省や大手マスコミが宣伝している日本の財政状況は、この金持ち一家の話と同じなのです。
消費税の常識を覆す漫画本が発行された
メディアは国の財政が危機的と伝え、多くの国民も「消費増税は致し方ない」と思うようになっています。
今年秋には消費税率は8%から10%に引き上げられます。
しかし、安倍総理に消費増税の凍結を決断させようと、女子高生の高橋あさみちゃんが、消費増税に賛成する大手新聞社の社長や大物エコノミスト、政治家、財務省幹部らと対決する漫画本が7月10日に発行されました。
タイトルは「マンガでわかる こんなに危ない⁉️消費増税」
果たして、あさみちゃんは日本を代表する増税派論客を論破できるのか?
私も購入して読みましたが、面白すぎて、あっという間に読了しました。
そのレビューをお伝えしたいと思います。
消費税を払う国民なら一度は読むべき一冊
消費税の常識は非常識だったことが分かる
「財政やマクロ経済の世界は難しくて分からない」「財務省の優秀な人たちが言っているのだから消費増税は必要なんでしょ」「旧民主党だって増税に反対した小沢一郎を排除してまでも消費増税したのだから、きっと福祉や社会保障に使われるはず」
こんな風に考えている人たちは必ず読むべき一冊だと感じました。
それはなぜか?
このマンガは東大に多数の合格者を輩出している名門高校の女子高生・高橋あさみちゃんが安倍総理に増税凍結を直談判したいと校内で署名活動することから始まります。
しかし、あさみちゃんの前には、教育長、お大名新聞社社長、政府の審議会で活躍するスーパー筋肉経済学者、ケイ団連会長、財務省系の国会議員、国際金融機関IMFの理事が次々登場し、増税の必要性を説き、対決します。
このマンガが優れているのは、まずは国の財政状況や消費税、各国の状況、ハイパーインフレとはなんぞやといった基本が勉強できるということです。
あさみちゃんは次々と論客たちを論破していき、その過程で、なぜ財界や大手メディア、エコノミストが財務省の代弁者と化しているのか、その背景も描いています。
まさに、現在の財政・経済の基礎を学べるだけでなく、権力中枢の裏のカラクリが分かる構成となっています。
しかも、私の知ることと大きな違いはありません。霞ヶ関の裏の裏をよく調べていると感心しました。
マンガの最後には第2次安倍内閣の内閣官房参与が解説
一言で言うと、この「マンガでわかる こんなに危ない⁉️消費増税」は漫画本の域を超えています。
最後に、安倍内閣の内閣官房参与として「国土強靭化基本計画」をまとめた藤井聡京大教授が「おかしいものをおかしいと言い続ける勇気」と題して、あとがき解説を書き下ろしています。
冒頭、こんな感想をつづっています。
「今、日本で何よりも求められているのは、まさにコレだったのだーー大げさに聞こえるかもしれないが、筆者がこの作品をはじめて目にした時に感じた偽らざる率直な印象は、そういうものだった」
藤井 聡(ふじい さとし、1968年10月15日 – )は、日本の社会工学者。京都大学大学院工学研究科教授、同大学レジリエンス実践ユニット長、第2次安倍内閣・内閣官房参与、統計数理研究所リスク解析戦略研究センター客員教授、早稲田大学意思決定研究所招聘研究員、京都大学地域連携教育研究推進ユニット教授、ナショナルレジリエンス懇談会座長、一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議理事長、京都大学土木会評議員、カールスタッド大学客員教授。(出典:Wikipedia)
では、この漫画は誰が描いたのか?
著者は「消費増税反対botちゃん」(公式Twitterアカウント:https://twitter.com/bot80586891)
著者略歴には「消費税増税がものすごく悪い影響があるっていうのを聞いて、2019年2月中旬から50冊以上の消費増税に関する本を読み、すぐに漫画で書き始めました。今までは正直、まったくの経済オンチでしたww」と経済オンチから猛勉強して本作を書き上げたことを明かしています。
そして、こう言います。
この漫画は消費税を支払っている人が、まずは一度読むべき作品だと感じました。
そのうえで、私たちが当然のように受け入れている消費税とは一体なんなのか?
これまで信じてきた常識は本当だったのか?
基礎知識を漫画で知ったあとで、それぞれが自由に判断すればいいのです。
財政を健全化するという旗印のもとに実施した政策が国民を塗炭の苦しみに陥れることがないのか?
「財務省栄えて国民貧する」ことにならないのか?
じっくり思索するには秀逸な一冊だと思います。
最後に、あさみちゃんのお父さんは財務官僚でした。しかし、あることで財務官僚をやめてしまいました。
それはなぜなのか?
本書はいろいろな見せ場も用意しています。