ドコモの来年2〜4割引き下げにauやソフトバンクが追随するのか
キャリアのスマホ代は一人平均7800円
悪い予感がしてきました。
先月末、携帯キャリア最大手のNTTドコモが来年度に2~4割の値下げを実施すると発表しました。
他の大手キャリアがどんな姿勢を示すのか注目していましたが、au(KDDI)は「ドコモと同じ規模で追随しない」といい、ソフトバンクは系列の格安SIM「ワイモバイル」の値下げはするが、「ソフトバンク」ブランドの値下げは当面見送る方針を示しました。
各社の姿勢を整理すると、次のようになります。
- docomo 携帯端末の値引きはしない代わり、来年度は通信料を2〜4割安くする
- au 「ドコモと同じ規模で追随しない」
- SoftBank 格安SIM「ワイモバイル」を値下げ。SBブランドの値下げは当面見送り
実質的に値下げにならない予感
これまでキャリアはスマホと通信料のセットプランの販売を主体にシェアを伸ばしてきました。
セットプランを利用すれば、10数万円する高価なiPhoneXSでも安く手に入りますが、その代わり割高な通信料金を受け入れなければいけません。
ドコモの値下げ表明以降、「分離プランの拡充」という言葉が飛び出してきました。
翻訳すると、「分離プランで通信料は安くするけれども、スマホは大幅に安くしませんよ」という意味に聞こえてきます。
私の翻訳が正しいのならば、通信料は下がってもスマホ代金は値引きしないのですから、利用者が支払う金額はトータルでほぼ変わらない可能性が出てきました。
負担増の時代にスマホ代の家計支出は増え続ける
キャリアと格安SIMの通信料金は月4000円の差
そもそも、今回急浮上した通信料金の値下げ騒動は、菅義偉官房長官が8月に「(キャリアは)4割程度下げる余地がある」と発言したことがきっかけでした。
日本の携帯料金は国際的に割高と言われていたことに加え、菅官房長官の発言を受けた格好で、10月からは総務省の有識者会議でも値下げ議論が始まっています。
日本人は毎月、携帯電話にどのくらいの通信料を支払っているのでしょうか?
昨年3月、モバイルマーケティングデータ(MMD)研究所が発表した調査結果によると、大手3キャリアの利用者が支払っている月額料金は平均7876円でした。(引用元「2017年携帯電話の利用料金に関する調査」)
一方、格安SIMの利用者の月額料金は平均2957円で、キャリアスマホと格安SIMスマホの通信料金の差額は月4000円近くにのぼりました。
仮に、4人家族だと、月1万6000円、年間では19万2000円もの差額になります。
差額でテレビやパソコンを買えてしまいます。
消費増税など負担増時代のスマホの立ち位置
もうひとつ知っておきたい数字があります。
それは2人以上の世帯が、年間、どのくらいの電話代を払っているのか?
総務省が調査したところ、2016年の電話通信料は固定電話と携帯電話合わせて年間12万392円だったということです。(引用元:総務省HP)
固定電話の通信料は年々減少しているのに対し、スマホなど携帯電話は増加傾向で、歩調をあわせるように世帯支出に対する通信料の比率も2010年に3.66%だったのが、2016年には4.14%まで増加しています。
最近は中高生も当然のようにスマホを持つ時代になりました。
夫婦に子供2人の家庭では「毎月の通信料が痛い」という人も少なくないと思います。
一方で、各種社会保険料が増え続け、給料の手取り収入もなかなか増えにくい時代です。
しかし、スマホなど携帯電話は災害防災の情報収集にも欠かせない生活インフラで、電気・ガス・水道代と同じ必要不可欠な固定費です。
2019年10月からは、いよいよ消費税率が10%に引き上げられます。10万円買い物をしたら、1万円の税金を納める時代のスタートです。
薄皮を一枚一枚剥がされるように、私達の支出は増え続けるのかもしれません。