金銭による解雇ルールで終身雇用は崩壊する
政府内で解雇を金銭で解決できる制度が検討されている
労働界や法曹界など雇用紛争にかかわっている人は周知のことですが、政府内では会社側が社員の解雇を金銭で解決する方法が検討されています。
議論しているのは、厚生労働省の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」で、果たして金銭で解雇が可能になるのかどうか、最終的な結論が注目されています。(ご参考)
解雇無効時の金銭救済制度というのは、解雇が無効だった場合でも労働者がお金を受け取ることで労働契約を終了できるというものです。
こうした不当解雇でも金銭で雇用関係を解消できる”大人の解決方法?”は、会社経営者が乱用したり、モラルハザードの恐れがあるため反対論も根強く、過去に2度、法制化が見送られた経緯があります。
今回も、日本労働弁護団は「使用者のリストラの武器として使われたりする可能性が高い」として議論の中止を求めたほか、連合も反対姿勢を強めています。
しかし、企業の国際競争が激化するに伴って、米国型の労使関係に近づけようとする動きが強まり、近い将来、お金で解雇する制度は現実化すると私は予感しています。
しかも、金銭で解雇できるルールが確立すれば、いよいよ終身雇用制度の崩壊が本格化するかもしれません。
今回は終身雇用崩壊の引き金となるかもしれない「金銭で解雇できる時代」に備えて、サラリーマンが何を考え、どう自己防衛するべきなのか考えたいと思います。
最も怖いリストラとは何か?
現在は、会社がリストラする場合、大きく二つの方法があります。
ひとつは希望退職を募集し、手を挙げた人には退職金を割り増して支給するというものです。
希望退職は会社側が自由にリストラ対象者を選べず、むしろ優秀な社員ほど早期退職するため、逆に企業の人的資産を弱体化させるリスクがあります。
一方、社員側からすると、人生を転換するために一時的に退職金プラスαのお金を手にすることができますから、人によってはありがたい制度かもしれません。
もうひとつは、メガバンクや損保ジャパンが検討しているような配置転換によるリストラです。
希望退職は募らず、他の部署への異動や子会社への転籍を実施し、定年退職者よりも新卒採用の人数を減らして自然減を狙う方法です。
会社にとっては、退職金の割り増し金などキャッシュの流出を防げるメリットがある反面、社内の空気は淀み、モラルややる気の低下を招く恐れがあります。
一方、社員側からすると、想定もしていなかった窓際勤務で心を病んだり、定年まで長期間にわたって給料のために人生を消化することになるため、希望退職よりも過酷なリストラと感じる人も少なくないはずです。
役員よりも高収入のサラリーマンになる方法
現状でも金銭で解雇紛争を解決する事例はある
現在は金銭解決による解雇はないのでしょうか?
裁判沙汰になった際、最後は金銭で解決したり、裁判に至る前でも労使が話し合いで金銭解決することはあります。
労働界などが政府の動きに反発しているのは、現状でも金銭解決の事例はあるのに、なぜ、いま、わざわざルールを作るのか?という疑念があるからです。
ただ、話し合いでは金銭解決の結果に不公平が生じる可能性はあります。しかし、解決金の基準などをルール化すれば、不当に安い解雇はなくなるのかもしれません。
一方で、金銭解雇の法制化は、条件さえ満たしていれば、お金でクビを切ることが法的に認められることでもあり、横暴な経営者による乱用の恐れが出てきます。
金銭解雇の法制化、ルール化は一長一短があるのです。
ただ、労働者の価値観は多様です。
「とにかく雇用を継続してほしい」「給料さえもらえたら本望」という人もいれば、「目的意識の異なる経営者や指導の厳しい上司のもとでは働きたくない」「解決金をもらって解雇された方が新たな人生に踏み出せる」と考える人もいるでしょう。
ですから、金銭解雇の法制化は賛否の分かれる問題だと思います。
ただ、この問題を考える時、何よりも重要な視点があります。
”無敵のサラリーマン”を目指す方法とは?
私たちは法律を作る国会議員でもなければ、厚生労働省の役人でもありません。ましてや、社会運動家でもありません。
大切なことは、どんな事態になっても、ビクともしない”無敵のサラリーマン”を目指すということです。
社会の動きに自分なりの意見や見解を持つのは自由ですが、一方で足元はしっかり固めておく習慣を身に着けることが重要です。
生活の基盤はお金です。お金は目的ではなく、生きる手段として必要不可欠なものです。
そのお金をどうやって増やすか?
最近、「サラリーマン格差」という言葉をよく目にします。
AIなど特殊な知識や才能がある人は入社間もない社員でも年収3000万円以上の厚遇を提示する企業が現れ始めたからです。
ユニクロを運営するファーストリテイリングは優秀な若手の確保に向けて2020年春にも人事制度を見直す。入社後最短3年で子会社の幹部などに抜てきする。年収は1千万円を超え、欧米勤務では最大3千万円程度とする。ソニーが人工知能(AI)に詳しい新入社員を優遇するなど、横並びの給与や昇進体系の見直しが進めば成果主義が浸透し、企業の生産性向上にもつながっていく可能性がある。(出典:日本経済新聞)
これもまた米国流の雇用文化ともいえますが、いきなり、そんな知識や技能を持つことは普通のサラリーマンには不可能です。
では、どうするのか?
まずは夫婦共働きで、世帯収入を倍増することを目指します。
次に、会社の給料だけでなく、副業で稼ぎ、収入源を複数化します。
すると、世帯収入が自分の会社の役員を上回ることが可能です。
そうなると、リストラも解雇も怖くない”無敵のサラリーマン”誕生です。
AIなど難しい知識を勉強しなくても、30〜40代で役員クラスの世帯年収に成長するのは、さほど難しいことではありません。
次回は、その方法論をより詳しく考察していきたいと思います。