「下町ロケット」に見る企業ドラマの魅力と可能性

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1作目ほどワクワク感がなかった「下町ロケット」

下町ロケット・2作目で感じた既視感の正体

我が家は企業ドラマを欠かさず視聴するようにしています。

とくにTBSの日曜劇場は、高視聴率を記録した「半沢直樹」や「下町ロケット(2015年版)」「陸王」といった話題作が多く、毎週日曜夜は夫婦ともに楽しみにしている放送枠です。

この10月から「下町ロケット」2作目がスタートしました。

先日第2話が放送されましたが、1〜2話のあらすじは次の通りです。

佃航平(阿部寛)が社長をつとめる佃製作所は、国内大手の帝国重工が手がける純国産ロケット「スターダスト計画」で唯一社外品のバルブを製造・納品していた。しかし、業績不振に陥った帝国重工は、次期社長候補にロケット部門の廃止を求める的場俊一取締役(神田正輝)が浮上。佃は的場がロケット開発部門の廃止を考えていることを知る。一方で、佃製作所は、ロケット品質のバルブを利用した農機具の「トランスミッション開発」も始めたが、そこで急成長を遂げるギアゴーストに出会う。ギアゴーストは帝国重工で不遇な扱いを受け窓際だった島津裕(イモトアヤコ)と伊丹大(尾上菊之助)が立ち上げたベンチャー会社だった。異能の技術者・島津らは、類まれな目利きで、すべて社外品のトランスミッションを大手農機具メーカーに納品し、その品質で成長していた。そのコンペに佃製作所とライバル企業のケーマシナリーが参加し、佃の製品が採用された。しかし、ギアゴーストはケーマシナリーから特許権の侵害を指摘され、会社倒産の危機に陥る。佃は、才能と夢を持った島津がいるギアゴーストを救おうと奔走するが・・・・
一作目を見終わった時点で、かつてのような「次も見なきゃ」というワクワク感がありませんでした。
 
というのも、予告編に登場した中川京一弁護士(池畑慎之介)はギアゴーストを特許権侵害で訴えると言っていましたが、これは1作目にも登場した場面でした。1作目は佃の顧問弁護士・神谷修一(恵俊彰)の活躍で訴えを退けたわけですが、正直、「また、特許権の話か」という気持ちになりました。
 
つまり、強い既視感があったのです。

企業ドラマの魅力とは?

サラリーマンの端くれとして感じる企業ドラマの魅力とは、ストーリーのリアリティーです。
 
不採算なら容赦なく切り捨てる大企業の論理や、上司の命令なら不条理なことでも実行するサラリーマンの悲哀、零細企業の自由さと財務的な厳しさなど、「企業あるある」がどれだけ内包されているかどうかがドラマの質を決定づけると思っています。
 
しかし、今回の下町ドラマは、私も妻も、なにか魅力を感じないのはどうしてか?
 
ひとことで言えば、リアリティーが希薄だからです。

正直言って、こんなに多額の特許権侵害を相次いで訴える乱訴はそれほど多くはないし、正直、企業が技術を競い合うワクワク感を期待していただけに、少しがっかりしました。

米国なら乱訴も有りうる話なのかもしれませんが、舞台は日本です。

唯一救いは、イモト扮する島津裕の言動に技術者の良心と夢が込められ、ホッとさせられる点です。

しかも、彼女の演技は私には好印象でした。

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企業ドラマ制作者はもっと企業研究をしてほしい

ドラマはドキュメンタリー以上に社会を変える力がある

ドラマの可能性は何でしょうか?

2017年にノーバル文学賞を受賞した日系英国人のカズオ・イシグロさんは、受賞後の会見で、次のように語っています。

「私たちは今、なかなか前進できずに苦しんでいます。特に政治面が厳しい。そうした中で、文学が何らかの形で一助になればと願っています。」

イシグロさんは文学を通じてジャーナリスティックなもの以上の可能性を探っていると感じました。

ルポルタージュやニュースは、その事実の正確さが求められます。

しかし、文学はその制約からは放たれ、むしろ世界で起きたことや、個人間で起きていることの中から忘れてはいけないこと、怒っていいこと、悲しむべきことを、自由に、そして柔らかく伝えることができるのです。

ドラマも同じです。

ニュース特集やドキュメンタリーは事実関係の正しさを常に問われます。制作者もその正確性に常に神経を奪われているはずです。

都合の悪いことを報じられた人たちは事実関係から攻めようとするからです。

しかし、ドラマは事実関係からは比較的自由な立ち位置で、人々に伝えたいストーリーを構築できるはずです。

ですから、世の中を変える力があるのは、むしろ、自由なストーリーを描けるドラマではないかと思うのです。

自由であるがゆえにリアリティーが重要

一方で、ドラマは自由なストーリーが描けるだけに、そのストーリーや設定にリアリティーがなければ、視聴者は興ざめします。

とくに、これから、様々な業種で専門的な職種を経験してきた高齢者がテレビドラマを楽しみに視聴する時代が本格化します。

ドラマ制作者はリアリティーを大切にして、様々な職業や企業のプロたちを唸らせ感動させてほしいし、そうしたドラマが多くの人たちに支持されるのだと思います。

そして、何よりもトラマの良し悪しを決定づけるのは脚本です。脚本家は、より企業研究に励んでほしいと思います。

ちなみに、私の妻が視聴しているテレビ朝日の「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」はリアリティーがあって面白かったと話していました。

TBSの日曜劇場で社会的なブームにもなった「半沢直樹」は、セリフなどは誇張しながらも、満遍なく銀行のあるあるが楽しめるドラマでした。

そんなドラマを期待し、応援歌としたいと思います。

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