サラリーマンは副業容認を喜ぶ前に警戒も必要だ
働き方改革で副業解禁や週休3日制は幸せなことなのか?
厚労省が2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表して以来、大手企業にも副業や兼業を容認する動きが広がっています。
ソフトバンクやLINE、サイバーエージェント、サイボウズなどIT企業だけでなく、丸紅やサントリーHD、アサヒHD、日産自動車、花王、パナソニックなど大手企業、さらに2019年には、金融機関でも副業を解禁する動きが強まっているようです。
さらに、働き方改革は時短や有給休暇の完全消化など休日増の風潮を強めています。
最近では、日本マイクロソフトが全社員を対象に8月の金曜日を有給休暇とする「週休3日制」を試験導入し、労働生産性が40%上がったという結果を発表しました。
基本的には、休日が増え、副業も許される風潮は悪いことではありません。
副業や兼業を容認する企業は「副業などで培ったスキルや知識・経験を本業に生かして欲しい」とも述べています。
ただ、そうした前向きな副業容認や休日増であれば問題はないのですが、私は給料を上げない予兆かもしれないと危惧しています。
なぜなら、私がサラリーマン時代に目撃した、ある副業を思い出すからです。
「もう給料が増えないから会社は副業を黙認している」
私が30代のころ、同業他社に、専門誌への投稿で副収入を稼いでいる知人がいました。
当時はサラリーマンが副業するというのは珍しい時代で、彼は日中、つまり勤務中でも原稿を書いていました。
しかし、彼曰く、会社も副業を容認しているということでした。
彼の会社は業績が悪化し、給料アップは望めない状況でした。社員に副業を認めなければ、優秀な人材が流出してしまうと考えたのかもしれません。
ですから、私は副業を認める企業は給料アップが困難な会社かもしれないと感じることがあります。
最近は、働き方改革の一環として、副業容認だけでなく、有給休暇の完全消化や週休2日制の完全実施に熱心な企業が増えてきました。
日本マイクロソフトのような週休3日制の採用を検討する企業が増えてくるかもしれません。
ゆとりある勤務体系や副業の容認は社員にとって朗報かもしれませんが、もはや会社は社員の終身雇用はもとより給料アップさえできない時代の予兆なのではないかと思ってしまいます。
実際、日本はすでに給料アップが望めない時代になっているのです。
それはどうしてか?
実際の数字で考えみたいと思います。
給料が全く伸びないことを前提に人生設計することが重要
日本人の給与水準は10年間横ばいを続けている
日本人は、毎年のように給料は増えるが当然だと考えてきました。
しかし、平均給与の推移を見ると、そんな給与の右肩上がり時代は終わったと思わざるを得なくなっています。
国税庁は今年年9月、最新の「民間給与実態統計調査」を発表しましたが、平成30年の平均給与は441万円で、10年前の平成20年(430万円)と比べると11万円増にとどまっています。
下記のグラフは過去10年間の給与水準の推移となります。
上記のグラフをみると、平均給与は平成29年が432万円で、平成20年の430万円からわずか2万円増にとどまっています。つまり、ほぼ同水準の横ばいでした。
平均給与が伸びない要因のひとつは、30〜40代の給与水準が伸びていないことがあります。
30〜40代は、家庭を持って住宅や教育などに最もお金がかかる世代です。しかも、企業がリストラ要因と考え始めた45歳以上の世代まで、あと数年しか残っていません。
日本人の経済的閉塞感は、こうした給与事情の変化が関係しているのかもしれません。
副業解禁を待って副業するようでは手遅れかもしれない
これまで述べたように、副業を容認する会には、業績が低迷して給料を増やせない企業も混じっている可能性があります。
そんな会社に勤務するサラリーマンは、副業が容認されてから副業を始めても手遅れになる可能性があります。
会社が副業を認めるのは、給料アップ打ち止めの予兆なのか、それとも社員のスキルアップを期待しているためなのか、その動機を注意深く自社分析することが重要です。
私は、サラリーマン時代に副業にブログを選択したのは、自宅で秘密裏に取り組むことができるからです。
会社が副業を容認するかどうか関係なく、自分の人生は自分で設計したいと考えました。
会社は死ぬまであなたの人生や生活を保障してくれません。
ましてや、今後は給料増は望めず、2019年は中年クビ切り時代の幕開けでした。
会社が副業を認めるか否かではなく、自分自身の判断で人生を切り拓く姿勢がより一層重要になってきたと感じます。