ブログやSNSで「”脱社畜”を実現して自由な人生を手に入れよう」といった誘い文句が花盛りです。
その言葉に踊らされ、入社数年で会社を辞めたり、大学を中退したり、就活せずに、フリーランスを目指す人たちが後を絶ちません。
しかし、サラリーマンを安易に捨てたことを悔いる人が多いのが現実です。
ただ、”脱社畜”という言葉が心に響くほど、就職した会社の中で悩み、苦しみ、鬱病の一歩手前まで追い込まれている人も少なくないと思います。
そんな人でも早期退職して「なぜ早まったことをしたのか」と後悔するものです。
会社を辞めて後悔することは何か?
さらには、鬱病的な状態になった場合の対策法を述べたいと思います。
サラリーマンが会社を辞めたら後悔する無形の資産
会社を早期退職すると大切な人的資産を失う
大手企業はもちろん、どんな会社にも尊敬できる先輩や同僚がいるものです。
人生は学生時代以上に社会に出てから学ぶことが圧倒的に多く、社会人の30年間をどう過ごしたかによって人間的な魅力や基礎能力に大きな差が生じます。
会社に就職して仕事を覚えて成長すること以上に、尊敬できる先輩や上司から学ぶことは多大なものです。
普通は、どこの会社も入社して間もなく、先輩社員が後輩に寄り添って仕事の教育や相談役などサポートする「メンター制度」が整備されています。
メンター役の先輩が尊敬できる人であれば、それはそれで幸運ですし、メンターがそういう人でなかったとしても会社には指導者になってほしい人がいるものです。
会社で出会ったメンターは、直接、経済的恩恵を与えてくれるわけではありませんが、生きていく上で何百冊の本にも代えがたい大切なことを教えてくれ、自分自身の心の支えになるものです。
若い時に早期退職するのは、そんな人的資産を捨てることです。
20〜30代からのフリーターと40〜50代の早期退職者の違い
大企業であればあるほど優秀な人たちが集まります。能力・人格ともに優れた人をメンター(指導者・理解者)にするチャンスがあるのです。
私の周囲を見ても、20代でフリーランスになって、毎日、生活するためのお金を心配し考えながら生きてきた人と、会社員として安定収入をもらって社会に役立つ商品やサービスの開発・販売を考えながら生きてきた人では、50代になったときに人間的な深みとゆとりが圧倒的に異なります。
あなたは、どっちのタイプの人間になりたいですか?
まずは、このことを自問自答してみてください。
「まだ、尊敬できる人にも出会っていないから、早期退職したい」という人がいるかもしれません。ただ、私自身、尊敬できる人に出会ったのは20代後半から30代前半でした。
20代で会社を辞めるのは、株式投資でいえば、購入して半年で「株価は上がらない」と決めつけ、有望な銘柄を売ってしまう行為です。
若ければ若いほど、早期退職し、ひとり孤独になると、人的資源の喪失感を後悔するものです。
早期退職で実感する社会的信用と安定収入のありがたさ
社会的信用力の暴落を後悔する
会社員を辞めてフリーランスになるのは、所属組織のない身分になることです。
日本社会はまだまだ所属組織で判断する社会です。
フリーランスではお金があっても信用力が低く家が借りられなかったり、子供ができても住宅ローンを組めなかったりするリスクがあります。実際、自分の信用力のなさに困惑した人はとても多いのが実情です。
ですから、信用力はお金に代えられない無形資産でもあります。
たとえば、クレジットカード一つ申し込むのであっても、フリーランスだと審査が通るかどうか不安です。私の場合、会社員時代に欲しいクレジットカードは全て契約し、そのあと早期退職しました。
大手企業に就職した人ほど、この信用の喪失は大きいはずです。普段の生活では気づきませんが、いざという時に、自分の信用力のなさに愕然とするはずです。
不安定な収入に怯える人生の選択
もっとも大きいのは安定収入を失うということです。
フリーランスは、基本的に毎日がバイト暮らしと変わらない生活です。
体を壊して働けなくなったら収入はゼロ。誰も助けてはくれません。
しかし、会社員ならば、風邪を引いて休みをもらっても収入に響くことはありません。大怪我をして数週間入院しても大丈夫です。
年に何度か、長期休暇も取得できます。海外に遊びに行っていても給料は変化なく振り込まれます。
しかし、フリーランスだと、こうはいきません。休むと収入がゼロだからです。
そのとき、ふと「あれ?会社員の方が自由なんじゃない?」と気がつくのです。
会社員とフリーランスの一番の違いはこのお金に関する点です。
- 会社員 収入を気にせず仕事する生活
- フリーランス 常に収入を気にする生活
お金のことを考えなくて済むという点では、実はサラリーマンが優れています。
フリーランスになったら土日は休んで家族と一緒に遊べると思っていたのに、逆に、土日は休めないという人も多いのです。
それはなぜか?
フリーランスは究極の下請けになることだからです。