スマホなどモバイル端末のユーザーは飽和状態か?
一家に固定電話1台の時代から全員スマホ所有の時代
昭和から平成にかけて一家に固定電話一台という時代が続きました。
しかし、固定電話から携帯電話、そしてスマホへと通信手段の革命が進むと、瞬く間に状況は一変し、いまや家族全員がスマホを持っていると家庭も少なくない時代が到来しました。
ちなみに、我が家も一家4人全員がスマホを利用し、先月は長女が動画の視聴時間が長すぎると妻に怒られていました。
些細な揉め事ですが、これは娯楽の占有時間が従来のテレビからスマホなど携帯端末に移行していることを予感させる出来事でした。
総務省は、こうした通信機器の利用状況などを調査した「平成30年通信利用動向調査」を発表しました。
その調査によると、スマホの保有状況(世帯)は、2010年(平成22年)に9.7%でしたが、2018年(平成30年)には79.2%と、約8割の世代に増加しました。(下記グラフ参照)
通信機器の保有状況を世帯ごとに見ると、上記のグラフのように、95.7%の世帯が何らかのモバイル端末を保有しています。
ほぼ全世帯がモバイル端末を保有する時代が到来しているとも言えます。
では、個人単位でどんなモバイル端末を保有しているのでしょうか?
スマホが急増する一方、モバイル端末全体では?
総務省の「平成30年通信利用動向調査」によると、スマートフォンを保有している人は64%。一方、携帯電話やPHSは26%となっています。
最近はスマホが増加して携帯電話やPHSが減少する傾向が続いています。
しかし、双方を合わせた保有率は84%前後で推移していて、モバイル端末の保有はほぼ頭打ちになっているようにも見えます。(下記グラフ参照)
ご覧のように、スマートフォンは平成26年に44.7%でしたが、4年後の平成30年には64.7%に増加。一方、携帯電話やPHSは34.6%から26.3%に減少しました。
通話さえできれば、あとの面倒な機能は不要という人もいますから、古い携帯電話を使い続けている人も少なくないことが分かります。
ただ、ここ数年、スマホや携帯などを合わせたモバイル端末の保有者は84%前後で推移していて、ほぼ飽和状態になったとみられます。
ということは新規よりも他社への乗り換えを検討する人たちが、今後、大手キャリアや格安SIM業者の主要ターゲットになってきます。
ですから、様々な乗り換えキャンペーンが展開されるかもしれませんが、消費者としては、注意すべきことが山積しています。
それは何か?
スマホの新規契約や乗り換えを焦ってはいけない!
キャンペーンに騙されない!通信料金は総額表示の時代へ
総務省はこの秋、携帯料金のルールを抜本的に改革する方針です。
特に注目されるのは、次の2点です。
- 通信各社は契約前に利用者に対して支払総額を定時すること
- 2年契約の途中で解約しても違約金を1000円以下に抑えること
料金ルールが改革されれば、上記の2点は消費者にとって朗報です。
まずは、支払総額の表示です。
日本経済新聞によると、「●年間の支払いの目安は●万●円」と提示し、端末代を25ヵ月以上の分割払いにする人には通信契約が終了したあと、その分割払いの残債がいくら残るのかということも分かるように明示することになります。
たとえば「2年間の支払いの目安は18万600円」といった形で示し、通信料や端末代などの内訳も併記する。20万円前後の人が多くなりそうだが、高性能の端末を分割払いで購入する人は大幅に上回る見通しだ。端末代を25カ月以上の分割払いにしている人は契約終了時の残債も明示する。(出典:日本経済新聞)
通信料金については、常々、料金体系が複雑な上に様々なキャンペーンが展開されて、一般ユーザーには、その料金がお得なのか損なのか、よくわからない状況が続いています。
もしかしたら、よく分からないようにするのが業者の狙いなのかと思うことも度々あります。
たとえば、キャッシュバックキャンペーンに魅力を感じて契約したとしても、基本料金が高ければ、最終的に支払う通信料金は割高になっているかもしれません。
とくに、お年寄りや情報弱者は店頭で販売員から複雑な説明をされると、訳が分からなくなり、「おそらくお得なのだろう」という雰囲気だけで契約する恐れがあります。
途中解約の違約金が大幅に安くなる
事前の支払い総額表示だけでなく、契約途中で辞める際支払う違約金も1000円以下に抑えられる見通しです。
今年秋以後の携帯料金のルール案が11日、明らかになった。2年契約を途中でやめる際の違約金を1000円以下に抑えることなどが柱で、料金体系やビジネスモデルが大幅に変わる。通信会社による顧客の「囲い込み型」から、通信会社を変えやすい「乗り換え型」に移行を促すことで、料金の引き下げがどこまで進むかが焦点になる。(出典:日本経済新聞)
現在、途中解約した場合、違約金は8000円ほど徴収されるケースが多いようです。
ですから、他の通信業者が魅力的なサービスを始めても乗り換えをためらうユーザーが少なくありません。
しかし、途中解約した際の違約金が1000円以下になれば、これまでユーザーを囲い込んでいた大手キャリアも安穏としてはいられなくなります。
しかも、今年2019年10月には楽天が大手キャリアとして通信事業に新規参入します。
魅力的な通信料金を提示した場合、ドコモやau、ソフトバンクの既存キャリアのユーザーは乗り換えやすくなります。
ですから、今年秋から来年の東京五輪にかけて、キャリアの激しい料金競争が展開される可能性があります。
私自身、現在、格安スマホの楽天モバイルと大手キャリアauの2つに契約しています。
大手キャリアのauに関しては、この夏、2年の契約期限を迎えましたが、解約せずに継続しながら、料金競争が始まり、解約違約金が1000円以下に引き下げとなるのを待っている状態です。
これからは、通信各社は損得の分かりづらいのキャンペーンではなく、支払い総額で勝負する時代に突入します。
その新時代が本格到来するまで、じっとキャリアの乗り換えを待つのも、消費者の賢明な戦略だと考えています。