厚労省の財政検証で公的年金が危機的状況
誰もが感じている年金不安が検証された
誰もが薄々感じていたことではありました。
しかし、厚生労働省は公的年金に関する財政検証結果を発表し、近い将来、公的年金が危機的な状況であることを明らかにしました。(参考:「国民年金及び厚生年金に係る 財政の現況及び見通しー2019年財政検証結果」)
日本経済新聞は、今回の結果について「経済成長率が最も高いシナリオでも将来の給付水準は今より16%下がる」と指摘。「成長率の横ばいが続くケースでは3割弱も低下する」と警鐘を鳴らしました。
厚生労働省は27日、公的年金制度の財政検証結果を公表した。経済成長率が最も高いシナリオでも将来の給付水準(所得代替率)は今より16%下がり、成長率の横ばいが続くケースでは3割弱も低下する。60歳まで働いて65歳で年金を受給する今の高齢者と同水準の年金を現在20歳の人がもらうには68歳まで働く必要があるとの試算も示した。年金制度の改革が急務であることが改めて浮き彫りになった。(出典:日本経済新聞)
公的年金制度は一般国民には分かりにくい複雑な制度設計となっています。
しかし、「年金は仕組みが難しいので、政府にお任せ、お好きにどうぞ」と放置するのでは、将来、こんなはずではなかったということになりかねません。
今回は、厚労省の財政検証や今後の改革案を分かりやすく解説するとともに、我々個人がどうすれば生き残れるのか考えたいと思います。
100年安心どころか24年後に危機に直面する
公的年金の長期的な見通しを知るために、厚生労働省は5年に1度、財政検証を実施しています。
財政検証は、将来的な経済成長率について、上は年率0.9%から下はマイナス0.5%まで6つのケース(シナリオ)に分けて試算しています。
現役世代の給料に対する年金の支給水準を所得代替率と呼び、政府は最低でも現役世代の給料の50%を支給することを約束しています。
現役サラリーマンの給料の半分あれば、高齢者は何とか生活できるのではないかという目安のようなものといえます。
ちなみに、2019年度の所得代替率は61.7%となっています。
- 現役世代の手取り収入35.7万円
- 夫婦2人の基礎年金(13万円)と夫の厚生年金(9万円)=年金支給額22万円
- 22万円÷35.7万円=61.7%
上記のような計算になりますが、これには大きな落とし穴があります。
ひとつは、現役世代の給料は税金などが天引きされた手取りなのに対し、年金支給額は額面であるということです。
なぜ年金額も手取りで表示しないのか疑問ですが、年金額を手取りで計算すると、所得代替率は一層低下します。
今回の財政検証では、経済成長率がマイナス0.5%のシナリオの場合、所得代替率は2043年度に50%に到達し、2052年度には46.1%で50%を割り込むと試算しました。
多くの経済アナリストは、経済成長率がマイナス0.5%のシナリオになる可能性が高いとも指摘しています。
かつて自民・公明政権は「100年安心の年金プラン」と言っていましたが、100年どころか24年後には本格的な危機に直面するというわけです。
公的年金は小遣い銭だと覚悟する時代なのか?
国民年金の積立金が2052年度に枯渇する危険性
今回の財政検証で、最も深刻なのは、いまの経済状態が続くと、2052年度に国民年金の積立金が枯渇してしまうということです。
失業が増えて保険料収入が減少しても、積立金を切り崩すことで年金支給額を維持できます。
その国民年金の積立金が枯渇するわけですから、また保険料の引き上げや年金支給額カットといった選択を迫られるかもしれません。
現在、国民年金の保険料は月額16,410円。これに対して平均受給額は約5万5000円です。
自営業者やフリーランスの場合、夫婦で月額11万円。伴侶に先立たれて一人になったら5万5000円しか収入がないわけです。
その国民年金を減額するのは残酷すぎますし、現役世代もそんな少額年金に毎月保険料を支払う意欲が削がれ、ますます保険料の未納率を高める恐れがあります。
こうした年金制度の苦境を前に、厚生労働省の財政検証が強調しているのは労働人口を増やすということです。
つまりは働いて保険料を支払う人が増えたら、保険料収入が増えるではないかというわけです。
最近、政府が企業に対し70歳まで雇用することを推奨しているのも、こうした文脈になるわけですが、企業側に老人を雇うモチベーションが希薄な上に、国民も年老いてまで他人にこき使われたくないという思いがあります。
では、我々はどうするべきなのでしょうか?
年金プラスαの副収入が絶必要不可欠な時代が来る!
年金制度が危機的状況になるといっても、年金は究極の不労所得な訳で老後の生活には欠かせない存在です。
しかし、その年金が年々目減りし、将来的に減額される恐れがある中で、年金以外の副収入を早くから考えておく必要があります。
他人に雇われることに苦痛を感じない人であれば、スーパーやコンビニなどでアルバイトする方法もあるでしょう。
一方で、高齢者になってまで子供のような経営者に命令や注意されてストレスを溜め込む生活を送りたくないという人は多いはずです。
しかし、天からお金が降って湧いてくる訳でありませんし、雇われたくない人は自力で稼ぐしか方法はありません。
私自身、ブログでどれだけ稼げるようになるのか、個人的な実験を試行中です。
年金給付はまだまだ先なので、5年後に月間10万円であっても収益が発生したら、たとえ年金が減額されてもカバーすることは可能です。
しかも、ブログは他人に雇われて稼ぐ訳でもないので、とても気楽です。
いまのところ1年目で月間約2万円なので、継続することによって、5年後には月収10万円は稼げるのではないかと、取らぬ狸の皮算用を弾いています。
将来不安に怯える前に、自分ができることをとにかく実行することが何よりも重要だと考えています。